【2026年(令和8年)】岩手県の太陽光発電補助金はいくら?金額・条件・申請方法を解説

最終確認日:2026/09/24
この記事の要約 岩手県で太陽光発電を導入するときは、国のみらいエコ住宅2026事業に加えて、県独自の「いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金」と、市町村の独自補助を組み合わせられます。県の補助は新築の高断熱住宅向けで太陽光が必須要件になっており、太陽光単体では使えません。一方で盛岡市・宮古市・一関市・北上市・久慈市などの市では、既存住宅への後付けにも使える補助が動いています。この記事では、県と市町村の補助を金額・条件・受付状況まで整理し、内陸と沿岸で違う日照条件、寒冷地ならではの選び方、費用シミュレーションまで解説します。
岩手県でもらえる太陽光発電の補助金はいくら?【結論】
岩手県は冬季の積雪と日照の短さがある一方、春から秋の発電量は安定して確保できる地域です。灯油による給湯・暖房の負担が大きいため、太陽光の自家消費で電気にシフトする家庭が増えています。
太陽光の補助金は「国+岩手県+市町村」の3層で考えます。この3層で岩手県を見ると、次のようになります。
| 区分 | 補助の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 国(みらいエコ住宅2026等) | 太陽光単体の補助はなし。GX志向型住宅で最大125万円/戸(寒冷地)などのセット型 | 住宅省エネ2026キャンペーン公式 |
| 岩手県(独自補助) | 新築の高断熱住宅向けに太陽光が必須要件。太陽光は7万円/kW・上限35万円/戸、蓄電池は1/3・上限35万7千円。太陽光単体では申請不可 | 岩手県 令和8年度 いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金 |
| 市町村(独自補助) | 市町村により大きく異なる。宮古市は4万円/kW・上限25万円、北上市は既築3万円/kW・上限29万7千円(蓄電池セット必須)、盛岡市は1万4千円/kW・上限5万6千円など | 各市町村公式(後述) |
同じ5kWの設置でも、住んでいる市町村と新築か既築かで実質負担は数十万円変わります。まずは全国共通の国の位置づけを押さえてから、県と市町村の状況を見ていきましょう。
国の制度:太陽光発電に直接補助はある?【全国共通】

太陽光発電の補助金を国レベルで探すと、まず知っておきたい前提があります。住宅用太陽光発電への単体の国補助は現在ありません。かつて実施されていた住宅用太陽光発電導入支援補助金は2014年(平成25年度)で終了しています。
ただし、太陽光発電を含む省エネ住宅・脱炭素設備をセットで導入する場合は、国が支援する制度がいくつかあります。設置費用を直接下げる制度ではなく、太陽光を含む住宅要件を満たすと補助が出る、太陽光と一緒に蓄電池を入れると蓄電池側で補助が出るといった形です。順に見ていきます。
みらいエコ住宅2026事業(住宅省エネキャンペーン)
みらいエコ住宅2026事業は、国土交通省・環境省・経済産業省の3省連携で実施される住宅省エネ2026キャンペーンの柱です。省エネ性能の高い新築住宅の購入や既存住宅の省エネリフォームを対象に、住宅単位で補助金が支給されます。太陽光はGX志向型住宅の要件のひとつになっており、住宅全体で高い省エネ性能を満たすことで補助が受けられます。
新築住宅の主な補助上限額は次のとおりです。
- GX志向型住宅:1戸あたり110万円(温暖地5〜8地域)/125万円(寒冷地1〜4地域)
- 長期優良住宅:1戸あたり75万円(温暖地)/80万円(寒冷地)※子育て世帯または若者夫婦世帯限定
- ZEH水準住宅:1戸あたり35万円(温暖地)/40万円(寒冷地)※子育て世帯または若者夫婦世帯限定
岩手県は省エネ基準の地域区分で2地域・3地域・4地域に分かれており、5地域以上に該当する市町村はありません。県内のどこに建てても寒冷地(1〜4地域)の区分になるため、GX志向型住宅なら上限125万円が基準になります。
太陽光を新築とセットで入れる家庭は、この住宅認定を狙う価値があります。
では、太陽光と組み合わせて使える別の国支援も見ていきます。
DR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・SII)
DR家庭用蓄電池事業は、経済産業省の予算でSII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)が運営する、家庭用蓄電池への補助制度です。太陽光と組み合わせた自家消費・DR(需要側の電力調整)に活用できる蓄電池を対象に、1申請あたり最大60万円が補助されます。
出典:DR家庭用蓄電池事業
ただし、令和7年度補正は2026年5月29日に交付申請額が予算に達したため、公募は既に終了しています。公式に再開予定はないと明記されています。令和8年度補正での再開があるかは、経産省・SII公式で最新情報をご確認ください。
FIT・FIP制度と自家消費への移行
太陽光発電で発電した電気は、FIT(固定価格買取制度)またはFIP制度で電力会社に売電できます。住宅用(10kW未満)はFITが基本で、10年間の固定価格買取が保証されます。2026年度の買取単価は初期投資支援スキームにより、導入から1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhの2段階制です。
出典:資源エネルギー庁 買取価格・期間等(2026年度以降)
初期の4年間は買取単価を高めに設定し、投資回収を早めるのが狙いです。5年目以降は市場価格に近い水準まで下がるため、この時点から自家消費に切り替える設計が経済的に有利になります。
税制優遇(住宅ローン減税・固定資産税減額)
太陽光発電への直接の税優遇ではありませんが、太陽光を要件に含む認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準)では、住宅ローンの減税や借入限度額が引き上げられ、長期優良住宅では新築住宅の固定資産税の減額期間が延長されます。
新築で太陽光を検討する場合は、住宅認定と組み合わせて総合的な負担軽減を計算してみましょう。
国と自治体の補助金は併用できる?
国のみらいエコ住宅2026事業は、都道府県・市区町村の独自補助と原則併用できます(自治体により例外あり)。ただし市町村の補助には、国・県・他の団体からの補助金との併用を禁止する条件を定めているところがあります。契約前に、それぞれの要綱で併用ルールをご確認ください。
岩手県・市町村の独自補助金
岩手県には県独自の補助があり、さらに複数の市町村が独自補助を実施しています。ただし県の補助は「新築の高断熱住宅」に絞られているため、既存住宅への後付けを考えている家庭は市町村の制度が主役になります。
岩手県の独自補助(いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金)
岩手県は「いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金」(いわてZEH+住宅等普及促進事業費のうち新築向け)を実施しています。新築戸建住宅の建築主等を対象に、断熱等性能等級6等なら1戸あたり100万円、等級7等なら180万円を基本補助として交付し、設備ごとの補助を上乗せする仕組みです。
出典:岩手県 令和8年度「いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金」
設備部分の補助額は次のとおりです。
- 太陽光発電設備(必須):定額補助で上限35万円/戸(7万円/kW×5kW)
- 蓄電池(選択):補助率1/3で上限35万7千円/戸(5万1千円/kWh×7kWh)
- HEMS(選択):補助率2/3で上限6万6千円/戸
太陽光は「必須」の位置づけで、太陽光だけを対象にした申請はできません。基本補助と合わせた最大額は、等級6等で177万3千円、等級7等で257万3千円です。要件には県産木材を5立方メートル以上使用すること、相当隙間面積(C値)1.0平方センチメートル/平方メートルを満たす気密性能、建設現場見学会の開催などが含まれ、施工は岩手型住宅賛同事業者または岩手県地域型復興住宅地域住宅生産者グループの登録事業者に限られます。
受付期間は令和8年5月18日から12月4日までで、補助金が予算額に達した場合は前倒しで終了します。募集戸数は等級6等11戸・等級7等8戸の計19戸と少なく、令和8年8月末時点で9戸の申請を受け付けています。申請窓口は一般財団法人岩手県建築住宅センターです。所在地や連絡先は県公式ページでご確認ください。
なお岩手県には改修向けの「住まいの省エネルギー改修推進事業費補助金」もあります(省エネ診断は2/3・上限15万円、省エネ改修は省エネ基準で4割・上限30万円、ZEH水準で8割・上限70万円)。こちらは断熱改修が対象で太陽光発電設備の記載はなく、申請先は実施している市町村です。県が実施する自家消費型太陽光発電設備の補助は20kW以上の県内事業者向けで、個人住宅は対象外です。
出典:岩手県 令和8年度事業者向け自家消費型太陽光発電設備設置事業
主要市町村の補助額一覧(令和8年度の実施状況)
太陽光発電は屋根の面積・向き・築年数が要る戸建て向けの設備のため、戸建てが多い市町村ほど活用しやすい制度です。県内の12市町村を個別に公式サイト・公式要綱で確認した結果、主要市では次の5市が太陽光に使える補助を実施しています。
| 市 | 太陽光発電の補助 | 補足条件 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 盛岡市 | 1kWあたり1万4千円、上限5万6千円。HEMSは上限1万4千円または設置費用のいずれか低い額(太陽光と同時設置のみ) 出典:盛岡市 住宅用太陽光発電システム等設置費補助金(令和8年度) | 制度名は「盛岡市住宅用太陽光発電システム等設置費補助金」。太陽光単体で申請でき、蓄電システムは市の補助対象外です。市内の自己所有・居住用の一戸建てが対象で、過去に市補助を受けていないこと、市税の滞納がないことが条件です。着工日の3週間前までに申請する事前申請制。受付は令和8年4月1日から令和9年1月29日までで、令和8年度は新築区分とHEMSが予算到達で受付終了、既築区分のみ先着で継続しています | 盛岡市 住宅用太陽光発電システム等設置費補助金(令和8年度) |
| 宮古市 | 太陽光1kWあたり4万円(上限25万円)、蓄電池1kWhあたり3万円(上限20万円) 出典:宮古市 住宅用太陽光発電・蓄電池システム導入促進費補助金制度 | 制度名は「住宅用太陽光発電・蓄電池システム導入促進費補助金」。太陽光は単体でも対象で、蓄電池は太陽光と接続していることが条件です。パワーコンディショナー定格出力10kW未満なら太陽電池の合計出力が10kW以上でも対象になります。工事完了日(新築は住宅引渡日)から3か月以内に申請する事後申請制です。 また、蓄電池は太陽光発電システムと接続した日から3か月以内の申請です。 | 宮古市 住宅用太陽光発電・蓄電池システム導入促進費補助金制度 |
| 一関市 | 太陽光1kWあたり2万円(上限10万円)、蓄電設備1kWhあたり2万円(上限10万円) 出典:一関市住宅用新エネルギー設備導入促進費補助金のご案内 | 制度名は「一関市住宅用新エネルギー設備導入促進費補助金」。太陽光単体で申請できますが、太陽光発電設備は固定価格買取制度(FIT)を利用することが交付要件です。市内に本店・支店・営業所等を有する施工業者との請負契約、市税の滞納がないことも条件。太陽熱利用設備・地中熱利用設備も対象です。受付は令和8年4月1日から12月28日まで、予算850万円に対する申請率は58%(令和8年9月18日現在) | 一関市住宅用新エネルギー設備導入促進費補助金のご案内 |
| 北上市 | 太陽光は新築1kWあたり2万円(上限19万8千円)/既築1kWあたり3万円(上限29万7千円)、蓄電システム1kWhあたり2万円(上限20万円) 出典:北上市 令和8年度住宅用おひさまパワー活用設備設置費補助金 | 制度名は「北上市住宅用おひさまパワー活用設備設置費補助金」。太陽光発電システムと蓄電システムをセットで設置することが条件で、太陽光単体では対象外です。10kW未満の新品に限り、地上・カーポート等への設置は対象外。市内に事業所を有する施工業者による施工が要件です。受付は令和8年4月1日から令和9年2月26日まで、申請状況により期間内に終了する場合があります | 北上市 令和8年度住宅用おひさまパワー活用設備設置費補助金 |
| 久慈市 | 10kW未満は1kWあたり1万円(上限額の記載なし)。10kW以上50kW未満は自家消費分に相当する出力1kWあたり1万円 出典:久慈市 50kW未満の太陽光発電システムの導入に補助します | 制度名は「久慈市自家消費型再エネ発電システム導入促進事業補助金」。自ら居住する市内の住宅への設置、建売住宅の購入のいずれも対象で、太陽光単体で申請できます。市税の滞納がないことが条件。受付は令和8年4月1日から12月25日まで、交付申請書の提出期限は令和9年3月12日で、予算の範囲内での受付です | 久慈市 50kW未満の太陽光発電システムの導入に補助します |
詳しくは各自治体のホームページをご確認ください。上記の5市以外にも、次の3市町で太陽光に使える補助を実施しています。
- 矢巾町:「自家消費型太陽光発電設備等設置事業補助金」で、家庭用の太陽光発電設備に1kWあたり7万円(上限5kW相当分=35万円)、定置型蓄電設備に設備費と工事費の1/3(上限は家庭用4kWh相当分)を補助しています。県内で最も手厚い水準ですが、FITまたはFIP制度の認定を受けていないこと、つまり自家消費型であることが条件です。受付は令和8年4月1日から令和9年3月31日まで、予算の範囲内で先着順です。
- 遠野市:「遠野市スマートエコライフ推進事業」で、太陽光発電システムに1kWあたり2万円(上限7万円)、家庭用蓄電システムに経費(税抜)の1/3または7万円のいずれか低い額を助成しています。市内業者と請負契約を締結した場合に限ります。受付は令和8年4月1日から令和9年2月末日までで、申請額が予算に達した時点で終了します。
- 釜石市:「釜石市脱炭素先行地域づくり事業補助金(自己所有太陽光発電設備等)」で、太陽光は、補助対象経費と太陽電池モジュールの公称最大出力1kWあたり31万5千円を乗じた額の、いずれか低い額の3分の2以内。蓄電池は、補助対象経費と1kWh当たり21万円を乗じた額のいずれか低い額の4分の3以内です。ただし対象は市内の脱炭素先行地域内に所在する施設に限られ、FIT・FIPの認定を取得しないことが条件です。受付は令和8年6月15日から10月30日までです。
一方で、個別に確認した結果、太陽光への補助が見当たらなかった市もあります。
- 花巻市:市の補助金一覧に環境・省エネ・再生可能エネルギー分野の補助はなく、家庭の省エネに関するページも国と県の制度を紹介する内容にとどまっています。
出典2:花巻市 家庭の省エネに関する国や県のキャンペーンなど
- 奥州市:エネルギー関連ページに掲載されているのは県の事業者向け事業のみです。住宅エコリフォーム支援事業の対象は太陽熱利用システムや高効率給湯器などのエコ設備で太陽光発電は含まれておらず、令和8年度分は6月24日で受付を終了しています。
出典:奥州市 令和8年度奥州市住宅エコリフォーム支援事業補助金
- 滝沢市:支援事業・補助金のページに市独自の太陽光・蓄電池補助の記載はなく、県の事業への案内にとどまっています。
- 大船渡市:住宅用太陽光発電システム導入促進費補助金は令和4年度をもって廃止されたと公式に明記されています。再エネ設備の支援制度を紹介するページも国と県の制度のみです。
出典1:大船渡市 住宅用太陽光発電システム導入促進費補助金の廃止について
市町村の制度は更新されやすく、年度途中で予算が追加されたり、逆に早期に受付終了したりします。宮古市には「再エネ電力供給促進事業費補助金」という補助率の高い別制度もありますが、予算上限に達して受付を終了しています。
お住まいの市町村の公式ページで最新の対象設備・金額・申請期限をご確認ください。
国・岩手県・市町村は併用できる?
国のみらいエコ住宅2026事業は、県・市町村の独自補助と原則併用できます。ただし岩手県内では、制度どうしで要件が正面から食い違う組み合わせがあるため注意が必要です。一関市の補助は太陽光発電設備がFITを利用することを交付要件にしている一方、矢巾町と釜石市の補助はFIT・FIPの認定を受けていないこと(自家消費型)を条件にしています。売電を前提にするか自家消費に振るかで、使える制度が分かれます。
県の「いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金」は新築の高断熱住宅が前提で、断熱等級・気密性能・県産木材の使用まで踏み込んだ要件です。国のGX志向型住宅と要件が重なる部分があるため、両方を狙う場合は設計段階から建築業者と整理しておくのが安全です。併用の可否は各要綱で定められているため、契約前に必ずご確認ください。
岩手県の日照時間・気候と太陽光発電の相性
岩手県は面積が広く、内陸と沿岸で気候条件がはっきり違います。盛岡地方気象台の年間日照時間の平年値(1991〜2020年)は1,686.3時間、年降水量は1,279.9mm、年間降雪量の合計は209cm、最深積雪は26cmです(降雪量と最深積雪は参考値)。
出典:気象庁 盛岡 平年値
一方、三陸沿岸の宮古では年間日照時間が1,876.2時間、年降水量1,370.9mm、年間降雪量の合計91cm、最深積雪22cmで、内陸より日照時間が約190時間長く積雪も少ない条件です。
出典:気象庁 宮古 平年値
標準的な設置条件(南向き・傾斜角30度・損失係数0.80)で試算した1kWあたりの年間発電量は、内陸で1,000〜1,100kWh、沿岸で1,050〜1,150kWh程度が目安です(計算式:容量×日射量×損失係数)。
冬季の積雪期はパネルへの雪の付着で発電量が落ちますが、雪が滑り落ちる設置角度(30度以上が推奨)にして雪止めの位置を工夫すれば影響を軽減できます。
三陸沿岸部では塩を含んだ風の影響を受けやすいため、耐塩害仕様のパネル・架台を検討する価値があります。県内でも葛巻町・岩手町・西和賀町・九戸村・八幡平市(旧安代町)は寒さがより厳しい2地域に区分されており、積雪の影響も内陸南部や沿岸部より大きくなります。
電気料金は東北電力の供給エリアで、従量電灯Bの電力量料金は第1段階(〜120kWh)29.62円/kWh、第2段階(120〜300kWh)36.37円/kWh、第3段階(300kWh超)40.32円/kWh(いずれも税込)です。
電気代の高止まりが続く局面では、自家消費比率を上げる太陽光の効果が家計に直結します。
岩手県は灯油による給湯・暖房を使う家庭が多い地域です。太陽光の自家消費で電気の使用割合を増やすと、灯油価格の変動リスクを電気料金に置き換えられ、灯油の購入・配達の手間も減らせます。オール電化や電気給湯(エコキュート)と組み合わせると、この切り替えメリットがより大きくなります。
太陽光発電の容量・パネル選びのポイント(岩手県事情)

寒冷地に区分される岩手県では、機種選びのポイントが温暖な地域と少し違います。
- 容量の目安:3〜4人世帯なら4〜5kW前後、屋根面積が広ければ6〜7kW以上も選択肢に入ります。県の補助は太陽光5kW分が上限、矢巾町も5kW相当分が上限のため、補助を満額使う設計なら5kWが目安になります。
- パネル種別:現在の主流は単結晶シリコンです。低照度性能が高い機種を選ぶと、曇りの日や冬季の発電効率を確保しやすくなります。
- 積雪対策:設置角度を30度以上にして雪を滑り落ちやすくします。雪止めや雪下ろしの導線も設計時に確認しましょう。
- 塩害対策:三陸沿岸部では耐塩害仕様のモデルを検討しましょう。
- 施工業者の要件:北上市・遠野市・一関市のように、市内に事業所や営業所を持つ業者による施工を条件にしている市があります。県の補助は岩手型住宅賛同事業者等に限られます。補助を使うなら業者選びの段階で要件を確認しましょう。
- 保証・メーカー:出力保証(25年前後)・製品保証(10〜15年)・自然災害補償(積雪・落雷)の内容を比較しましょう。
蓄電池・V2H・HEMSとのセット導入で補助はどう変わる?
太陽光と組み合わせる蓄電池・HEMSには、それぞれ補助制度があります。岩手県内では次のように分かれます。
- 太陽光と蓄電池のセットが必須:北上市(太陽光と蓄電システムのいずれも設置したものが対象)
- 太陽光単体でも申請できる:盛岡市・宮古市・一関市・久慈市・矢巾町・遠野市・釜石市
- 蓄電池が市の補助対象外:盛岡市(対象は太陽光発電システムとHEMSのみ)
- 蓄電池の補助が手厚い:釜石市(1kWhあたり21万円を上限とする経費の3/4以内、脱炭素先行地域内限定)、宮古市(1kWhあたり3万円・上限20万円)、北上市(1kWhあたり2万円・上限20万円)
県の補助でも蓄電池は選択メニューで、補助率1/3・上限35万7千円が設定されています。HEMSは補助率2/3・上限6万6千円です。盛岡市のHEMS補助は太陽光と同時設置に限られ、令和8年度分は予算到達で受付を終了しています。
国のDR家庭用蓄電池事業は令和7年度補正が受付終了のため、令和8年度動向を要ウォッチです。冬季の日照が少ない岩手県では蓄電池の充放電サイクルが太陽光の稼働と同期しないタイミングもありますが、卒FIT後(10年経過後)は売電単価が大きく下がるため、蓄電池で余剰電力を貯めて自家消費に回す構成が経済的に有利になります。同時導入か後付けかは、お住まいの市町村の補助条件と電気の使い方で判断しましょう。
FIT売電 vs 自家消費:岩手県ならどちらが得?
住宅用太陽光(10kW未満)のFIT買取期間は10年間で、2026年度は初期4年間が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhの2段階制です。
出典:資源エネルギー庁 買取価格・期間等(2026年度以降)
一方、家庭の電力量料金は東北電力管内で従量電灯Bの第2段階(120〜300kWh)が税込36.37円/kWhの水準にあり、買取単価より家庭が購入する電気単価のほうが高いのが実情です。
5kWシステムでの年間試算(目安)
年間発電量を5kW×1,050kWh/kW=5,250kWhと仮定した場合(岩手県の日照条件を踏まえた目安値、購入電気単価は税込33円/kWh想定。あくまで概算試算・個別条件で変動します)、次のような傾向になります。
- 1〜4年目(高単価売電期):発電量の7割を売電(3,675kWh)とすると、3,675×24円=約8.8万円/年の売電収入。自家消費分(1,575kWh)で購入電気を約5.2万円/年削減。合計メリット約14.0万円/年です。
- 5〜10年目(低単価売電期):売電単価が8.3円/kWhに下がるため、自家消費比率を5割まで上げると、売電(2,625kWh×8.3円=約2.2万円)+購入電気削減(2,625kWh×33円=約8.7万円)=合計メリット約10.9万円/年です。
- 11年目以降(卒FIT):市場価格の売電(8〜10円/kWh前後)または自家消費が中心になります。蓄電池を併設していれば夜間消費にも回せます。
補助の要件によって、この選択が最初から決まってしまう点に注意が必要です。一関市の補助を使うならFIT利用が前提になり、矢巾町・釜石市の補助を使うならFIT・FIPを使わない自家消費型が前提です。補助額と10年間の売電収入を並べて比べたうえで、どちらの制度に寄せるかを決めましょう。
岩手県で自家消費が特に効く家庭
- 灯油給湯・オール電化住宅:昼間の電気を給湯・調理・暖房で回せます
- 在宅時間が長い:在宅ワーク・シニア世帯は日中の電力消費が多くなります
- 蓄電池を併設:冬季の日照が少ない時期でも、貯めた電気を夜間・悪天候時に使えます
- 沿岸部で停電への備えが必要:台風や冬の暴風で停電が起きた際、自家消費と蓄電池の組み合わせが非常用電源としても役立ちます
一方で、初期費用の負担を抑えたい家庭は、FITで10年間の安定収入を得てから卒FIT後に自家消費へ切り替える設計にする選択肢もあります。家族構成・在宅時間・灯油使用量で、どちらが得かは変わります。
岩手県の導入費用と補助後シミュレーション

太陽光発電の導入費用は、2025年設置分・住宅用(10kW未満)の全国平均で29.0万円/kW(既築30.1万円/kW、新築28.9万円/kW)です。
出典:資源エネルギー庁 買取価格・期間等(2026年度以降)
5kW導入の場合、平均で約145万円(新築)〜約151万円(既築)が目安です。寒冷地仕様や積雪対策で若干割高になる傾向があり、実勢価格は施工店・機種で変動するため、最終的な見積もりは複数社の相見積で確認しましょう。ここに県・市町村の補助を充てると、実質負担は次のように下がります。
| ケース | 実質負担 |
|---|---|
| 新築住宅・岩手県のいわて 省エネルギー住宅建設推進事業費補助金 (等級6等)・太陽光5kW | 太陽光の導入費用:約145万円 県補助(太陽光分):7万円×5kW=35万円(上限35万円にちょうど到達) 太陽光の実質約110万円(145万円-35万円) 補足:これに加えて断熱等性能等級6等の基本補助100万円/戸が住宅本体に交付されます。蓄電池を7kWh入れると補助率1/3で上限35万7千円が加算されます。 |
| 既存住宅・盛岡市・太陽光5kW単体 | 導入費用:151万円 盛岡市補助:1万4千円×5kW=7万円→上限5万6千円のため5万6千円 実質約145.4万円 |
| 既存住宅・宮古市・太陽光5kW+蓄電池8kWh | 導入費用:太陽光151万円+蓄電池100万円=合計251万円 宮古市補助(太陽光):4万円×5kW=20万円 宮古市補助(蓄電池):3万円×8kWh=24万円→上限20万円のため20万円 実質約211万円(251万円-20万円-20万円) 補足:太陽光5kW単体なら151万円-20万円=実質約131万円です。 |
| 既存住宅・一関市・太陽光5kW+蓄電池8kWh (FIT利用) | 導入費用:合計251万円 一関市補助(太陽光):2万円×5kW=10万円(上限10万円にちょうど到達) 一関市補助(蓄電設備):2万円×8kWh=16万円→上限10万円のため10万円 実質約231万円(251万円-10万円-10万円) |
| 既存住宅・北上市・太陽光5kW+蓄電池8kWh (セット必須) | 導入費用:合計251万円 北上市補助(太陽光・既築):3万円×5kW=15万円 北上市補助(蓄電システム):2万円×8kWh=16万円 実質約220万円(251万円-15万円-16万円) 補足:北上市は太陽光と蓄電池のセットが条件のため、太陽光単体では申請できません。 |
| 既存住宅・久慈市・太陽光5kW単体 | 導入費用:151万円 久慈市補助:1万円×5kW=5万円 実質約146万円(151万円−5万円) |
| 既存住宅・矢巾町・太陽光5kW単体(自家消費型・FIT不可) | 導入費用:151万円 矢巾町補助:7万円×5kW=35万円(上限5kW相当分にちょうど到達) 実質約116万円(151万円−35万円) |
補助の有無・金額で、同じ5kWでも実質負担が30万円前後変わります。正確な金額は機種・設置条件・申請時の予算状況で変わるため、最終的な見積もりは施工業者に依頼し、補助を含めたシミュレーションを出してもらいましょう。
太陽光発電補助金の申請から受給までの流れ
- 業者・機種選び:国のみらいエコ住宅、県・市町村の補助に対応できる業者を選びます。寒冷地対応・積雪対策・沿岸部の塩害対策の実績があるかも確認しましょう。
- 補助金の交付申請:盛岡市は着工日の3週間前までの事前申請が必須です。県の補助も新築の設計段階から動く必要があります。一方で宮古市・久慈市は工事完了後の事後申請です。契約前に業者と申請スケジュールを確認しましょう。
- 設置工事:事前申請制の場合は交付決定後に着工します。積雪期は工事期間が長引くことがあるため、春から秋の着工が一般的です。
- 完了報告・受給:工事完了後、完了報告書と証拠書類(写真・領収書等)を提出し、審査を経て補助金が交付されます。
FIT売電を行う場合は、これと並行してFIT設備認定(経産省への申請)と電力会社との売電契約の手続きが必要です。
申請で失敗しないための注意点
- 申請の順番を間違えない:盛岡市は着工3週間前までの事前申請、県の補助も事前申請です。宮古市・久慈市は工事完了後の事後申請ですが、期限(宮古市は完了から3か月以内、久慈市は令和9年3月12日まで)を過ぎると受けられません。
- FITを使うか使わないかで制度が分かれる:一関市はFIT利用が要件、矢巾町・釜石市はFIT・FIPの認定を受けないことが要件です。設計段階でどちらに寄せるか決めておきましょう。
- 施工業者の所在地要件:北上市・遠野市・一関市は市内に事業所や営業所を持つ業者による施工が条件です。県の補助は登録事業者に限られます。
- 予算枯渇による早期終了:盛岡市は令和8年度の新築区分とHEMSが既に受付終了しています。県の補助は募集19戸に対して7月末時点で9戸が申請済みです。検討を始めたら早めに動きましょう。
- セット必須か単体可かの確認:北上市は太陽光と蓄電池のセットが条件ですが、盛岡市・宮古市・一関市・久慈市・矢巾町・遠野市は太陽光単体で申請できます。
- 必要書類・写真の不備に注意:設置前の屋根の写真、施工中の写真、機器の型番写真など、指定書類が細かく決まっています。
太陽光発電導入のメリット・デメリット

メリット
- 電気代の削減:自家消費で購入電気を減らせます。給湯・暖房需要の大きい岩手県では効果を実感しやすくなります。
- 売電収入:FITで10年間、余剰電力を固定価格で売電できます。
- 災害時の非常用電源:停電時にパワコンの自立運転モードに切り替えれば、日中の発電分を家庭内で使えます。蓄電池を併設すればさらに安心です。
- 灯油依存からの脱却:オール電化と組み合わせることで、灯油価格の変動リスクを減らせます。
デメリット・注意点
- 初期費用:5kWで平均約145万円(新築)〜約151万円(既築)が目安です。寒冷地仕様や積雪対策で上振れすることもあり、補助でカバーできる範囲には限りがあります。
- 冬季の発電量:積雪と日照時間の短さで、冬季は発電量が落ちます。年間で見て回収期間を計算する必要があります。
- メンテナンス:パワコンは10〜15年で交換が必要です。パネルは20〜25年で徐々に発電効率が下がります。積雪期の除雪作業も必要です。
- 売電単価の低下:FIT単価は年々下落しており、卒FIT後は自家消費への切り替えが前提となります。
よくある質問(FAQ)

太陽光発電に国からの補助金はもう出ないの?
住宅用太陽光発電システム単体への国補助は2014年で終了しました。ただし、太陽光を要件に含む「みらいエコ住宅2026事業(GX志向型住宅等)」など、間接的に導入を後押しする国の制度があります。岩手県は全域が寒冷地区分のため、GX志向型住宅なら上限125万円が基準になります。
岩手県の県補助は既存住宅の後付けにも使える?
使えません。いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金は新築戸建住宅が対象で、断熱等性能等級6以上・県産木材5立方メートル以上の使用・気密性能などの要件があります。太陽光は必須要件のひとつという位置づけで、太陽光だけを対象にした申請はできません。既存住宅の後付けを考えている場合は、お住まいの市町村の制度を確認しましょう。
盛岡市の補助はまだ申請できる?
令和8年度は新築区分とHEMSが予算額に達して受付を終了しており、既築区分のみ先着順で受け付けています。既存住宅への後付けなら間に合う可能性がありますが、残枠は市公式ページで確認しましょう。
岩手県内でいちばん手厚い補助はどこ?
市町村単位では、矢巾町の自家消費型太陽光発電設備等設置事業補助金(1kWあたり7万円・上限5kW相当分=35万円)が高い水準です。補助率で見ると釜石市の脱炭素先行地域づくり事業補助金が高いものの、対象は市内の脱炭素先行地域内に限られます。金額だけでなく、FITを使えるかどうかの条件も併せて比べましょう。
花巻市・奥州市・滝沢市・大船渡市には太陽光の補助はある?
4市とも、令和8年度時点で市独自の太陽光発電への補助は確認できませんでした。大船渡市は令和4年度をもって制度が廃止されています。奥州市の住宅エコリフォーム支援事業は太陽熱利用システムなどが対象で太陽光発電は含まれず、令和8年度分は受付を終了しています。国のみらいエコ住宅2026事業や、新築なら県の補助と組み合わせて検討しましょう。
寒冷地・豪雪地でも太陽光は効果があるの?
冬季の発電量は落ちますが、年間で見れば内陸で1kWあたり1,000〜1,100kWh、沿岸で1,050〜1,150kWh程度の発電が見込めます。灯油給湯・暖房の需要が大きい岩手県では、自家消費で電気代・灯油代を削減できる面もあります。設置角度・雪止め・積雪対策を業者と検討しましょう。
賃貸住宅・中古住宅でも太陽光の補助は使える?
賃貸住宅にお住まいの入居者自身は申請できませんが、オーナーが既存住宅のリフォームとして発注する場合は工事発注者として対象になります。中古住宅への後付けも同様に、工事発注者として市町村の補助を申請できます。ただし盛岡市のように「自分で所有し居住するための一戸建て住宅」と定めている市もあるため、要件をご確認ください。
補助金はいつもらえる?
工事完了後に完了報告・審査を経て交付されます。交付までの期間は数か月かかるのが一般的です。契約時に業者へ目安を確認しましょう。
まとめ|岩手県は県の新築向け補助と市町村補助を使い分ける
岩手県で太陽光発電を導入する場合、新築なら県の「いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金」で太陽光分の上限35万円と断熱等級に応じた基本補助100万〜180万円を狙えます。ただし太陽光単体では申請できず、断熱等級・気密性能・県産木材の使用まで満たす必要があります。既存住宅への後付けなら、市町村の制度が主役です。宮古市は4万円/kW・上限25万円、北上市は既築3万円/kW・上限29万7千円(蓄電池セット必須)、矢巾町は7万円/kW・上限35万円と、住んでいる自治体で実質負担が変わります。花巻市・奥州市・滝沢市・大船渡市のように市独自の補助が確認できない自治体もあるため、お住まいの市町村は必ず確認しましょう。
制度選びでは金額だけでなく条件も見比べる必要があります。一関市はFIT利用が要件、矢巾町・釜石市はFIT・FIPを使わない自家消費型が要件で、方向が正反対です。売電で回収するか自家消費に振るかを決めてから、対応する制度に寄せるのが確実です。
岩手県は全域が寒冷地区分に入り、冬季の発電量は落ちます。それでも年間では1kWあたり1,000kWh台の発電が見込め、内陸と沿岸では日照条件に約190時間の差があります。灯油による給湯・暖房が多い地域のため、電気代と灯油代の両方を削れる点が導入の後押しになります。補助金は予算上限・先着順が多く、盛岡市の新築区分のように既に締め切られている枠もあります。検討を始めたら早めに登録業者へ相談し、複数の見積もりを比べるのが近道です。
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