ペロブスカイト太陽電池とは?実用化はいつ?メリット・デメリットを徹底解説

太陽光発電・蓄電池
この記事の要約

太陽電池といえば「屋根に設置する黒くて重たいパネル」という常識が、今まさに覆されようとしています。 それを実現するのが、次世代の太陽電池として注目されている「ペ...

太陽電池といえば「屋根に設置する黒くて重たいパネル」という常識が、今まさに覆されようとしています。

それを実現するのが、次世代の太陽電池として注目されている「ペロブスカイト太陽電池」です。

ペロブスカイト太陽電池はクリアファイルのように薄く、ペラペラと曲げることができるため、従来のパネルでは設置を諦めていた場所でも設置が可能。そのため世界中で大きな注目と期待が寄せられています。

結論から言うと、ペロブスカイト太陽電池は将来性の高い技術ではあるものの、2026年現在、一般家庭が「今すぐ導入すべき」段階にはまだありません。  

国のロードマップでは、本格的な普及時期は2030年頃とされています。

現時点では、設置場所の制約や導入時期によって、従来のシリコン型太陽電池を選ぶほうが現実的なケースも多くあります。

本記事では、ペロブスカイト太陽電池の特徴や実用化の現状を整理したうえで、「待つべき人」と「今はシリコン型が向いている人」の判断基準を分かりやすく解説します。

ペロブスカイト太陽電池は待つべき?今はシリコンでいい?

ここでは、ペロブスカイト太陽電池の現状を踏まえ、「なぜ今すぐの導入判断が難しいのか」を整理します。

画期的な技術であることは間違いありませんが、現時点で無理に導入を急ぐ必要はないでしょう。

とはいえ現在、従来型のシリコン型太陽電池を検討している方が「あと数年待てばもっと良いものが出るのでは」と悩む気持ちも分かります。

そこではじめに技術の現在地を冷静に見極め、最適な選択をするための基準を整理していきましょう。

現時点では一般住宅向けはまだ普及前

経済産業省のロードマップでは、段階的に社会実装を進め、2030年頃の本格普及(量産・コスト低減・用途拡大)を見据えた方針が示されています。

実際にコンビニ店舗などでの実証事例も報じられており、まずは公共施設・商業施設などから導入検証が進む流れです。

とはいえ、一般家庭での普及はもう少し先になると見込まれます。

導入判断の基準(新築/既築/売電終了/電気代対策)

では予定通り2030年頃にペロブスカイト太陽電池が一般家庭でも利用できるようになるとして、どのような基準で導入の可否を判断したら良いのでしょうか?

想定される4つのパターンは、以下の通りです。

  1. 新築住宅を検討している場合:屋根の強度が設計段階で確保されているなら、実績豊富で寿命も長いシリコン型を載せるのが賢明でしょう。  
  2. 既築住宅で耐荷重に不安がある場合:補強工事が必要なケースでは、軽量なペロブスカイト型の量産を待つ価値があります。  
  3. FIT(売電)期間が終了する人:現時点では最新シリコン型への更新、または蓄電池の追加が現実的です。  
  4. 特殊な場所での電気代対策をしたい人:壁面や窓ガラス、ベランダなどを活用したいなら、製品化動向を注視すべきです。  

おすすめ判断フローチャート

ご自身がどちらの技術に注目すべきか、以下の簡易フローチャートで確認してみてください。

①設置したい場所に重いパネル(15kg/㎡程度)を置けますか?  

┣ はい:②へ  

┗ いいえ:ペロブスカイト型を待つ(または壁面設置を検討)

②今すぐ(1年以内)電気代を削減したいですか?  

┣ はい:シリコン型を導入  

┗ いいえ:③へ

③設置場所は「屋根の上」ですか?  

┣ はい:実績重視でシリコン型がおすすめ  

┗ いいえ(窓や壁面):ペロブスカイト型の製品登場を待つ

このように、設置場所の強度といつまでに効果を得たいかという時間軸が、判断の大きな分かれ目となります。

ペロブスカイト太陽電池とは? 

改めて説明すると、ペロブスカイト太陽電池は、基板の上に「ペロブスカイト結晶構造」を持つ層を塗布して作る太陽電池のことです。

簡単に言えば、インクのように材料を塗って作る太陽電池と考えてください。従来のシリコン型が硬いガラスの板であるのに対し、こちらはフィルムのように軽量で柔軟性があるのが最大の特徴です。

この技術がなぜこれほどまでに注目されているのか、その背景には日本という国の事情も深く関わっています。

日本人が開発!ノーベル賞候補とも言われる革新技術 

このペロブスカイト太陽電池、実は日本生まれの技術なのです。2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明しました。

宮坂教授は、それまで全く別の用途で知られていた「ペロブスカイト結晶」が、実は太陽光を電気に変える優れた能力を持つことを世界で初めて発見しました。

2009年の発明当初は3.8%だった変換効率が、わずか10年あまりで研究レベルでは25%を超えました。これは、現在普及しているシリコン太陽電池の最高記録(約26.7%)に匹敵する数値であり、この驚異的な進化は米国国立再生可能エネルギー研究所(NREL)のデータ等でも、太陽電池史上もっとも急速な発展として記録されています。

この発見とここまでの能力向上は世界の科学界に衝撃を与え、現在ではノーベル賞の有力候補を予測する「クラリベイト・引用栄誉賞」を受賞するなど、世界的にその功績が認められています。

日本が開発をリードしてきた技術だからこそ、国内メーカーも開発に力を入れており、産業競争力の復活という点でも期待がかかっています。

従来の「シリコン型」とは何が違うのか?

現在普及しているシリコン型の太陽電池は、シリコンの結晶をスライスして並べ、頑丈なガラスで挟み込んで作られます。

丈夫で発電効率も高いのですが、どうしても「重い」「厚い」「割れるため曲げられない」といった制約がありました。

一方、ペロブスカイト太陽電池の構造は非常にシンプルです。プラスチックなどのフィルム基板の上に、発電するペロブスカイト層や電極の層を薄く塗り重ねていきます。

例えるなら、シリコン型が「厚手のガラス窓」なら、ペロブスカイト型は「色のついたセロハンテープ」のようなイメージでしょうか。

この構造の違いが、後述する設置場所の自由度や製造コストに直結しています。

資源の強み|主原料「ヨウ素」は日本が世界シェア第2位

エネルギー安全保障の観点からも、ペロブスカイト太陽電池は日本にとって非常に重要な意味を持ちます。

シリコン太陽電池の主な原料であるシリコンは、その多くを中国などの海外からの輸入に頼っています。

しかし、ペロブスカイト太陽電池の主原料である「ヨウ素」は、日本が世界第2位の産出量を誇る資源なのです。特に千葉県は国内生産の大半を占めています。

つまり、ペロブスカイト太陽電池が普及すれば、日本は「エネルギー資源を自給できる国」へと近づけるかもしれません。

また昨今の国際情勢を鑑みても、原材料の調達リスクを減らせる点は国家レベルでの大きなメリットと言えます。

実用化はいつから?ロードマップとメーカー動向 

ではここからは、ペロブスカイト太陽電池の「今」を探っていきましょう。

政府目標は2030年

上でも説明した通り、経済産業省のロードマップによると、一般家庭への導入は2030年頃を想定しています。

2026年現在は早期社会実装のフェーズに入っており、公共施設や駅、工場、そしてコンビニエンスストアの店舗といった場所での実証実験が盛んに行われています。

実際の使用環境での耐久性の検証や、製造ラインの効率化によるコストダウンを急ピッチで進めている段階です。

国内主要メーカーの動向

日本国内の主要メーカーは、それぞれの強みを活かして実用化を牽引しています。

  • 積水化学工業:フィルム型の柔軟性を活かし、既存の建物や公共施設への設置に注力しています。東京都との共同事業などを通じて、屋外での耐久性検証を進めています。
  • パナソニック ホールディングス:ガラス建材と太陽電池を一体化させた(BIPV)技術に強みを持ち、ビルの窓や壁面そのもので発電する仕組みを推進しています。 
  • 東芝:独自の塗布技術により、大面積かつ高効率なフィルム型パネルの開発で世界をリードしています。受光面積を広げる技術など、実用的な効率向上に取り組んでいます。 

※参考

・積水化学工業(日本経済新聞):積水化学、東京都とフィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同研究を開始

・パナソニック 公式ニュース:YKK APとパナソニックHDによる「ガラス型ペロブスカイト太陽電池を内窓に用いた建材一体型太陽光発電」の実装検証を「谷町YFビル」にて開始

・東芝(MONOist):東芝がフィルム型ペロブスカイト太陽電池で世界最高効率、新開発の成膜法で実現

一般家庭や企業への本格導入はいつ頃になる?

一般家庭の屋根に設置するような汎用品としてのペロブスカイト太陽電池普及は、経済産業省のロードマップ通り、2030年頃になる見込みです。

シリコン型に匹敵する20年以上の長期保証体制が整い、なおかつ量産によってシリコン型を下回る価格で提供できるようになるまでは、まだ数年の準備期間が必要とされているからです。

現時点では、これまで設置が難しかった場所の課題を解決する次世代の選択肢として、製品化へ向けてのスピードを加速させているのが現状です。

メリット|なぜ次世代と言われるのか 

ではなぜ、今ここまでペロブスカイト太陽電池が注目され、国を挙げての開発が進んでいるのでしょうか?

それは、ペロブスカイト太陽電池が非常に大きなポテンシャルとメリットを秘めているからに他なりません。

①軽量・柔軟

ペロブスカイト太陽電池の最大のメリットは、その軽さと柔らかさです。 

一般的なシリコン太陽電池パネルは、1㎡あたり約11kgから13kgほどの重さがあります。これだけの重量物を屋根に載せるとなると、建物の強度によっては補強工事が必要になったり、そもそも設置不可と判断されたりすることも少なくありません。

対して、ペロブスカイト太陽電池は非常に薄く軽量で、同じ面積あたりの重量は従来のシリコン型に比べて大幅に軽くなる可能性があります。開発している企業によると、シリコン型と比べて10分の1以下にまで軽量化できるとされています。

また、フィルム状で柔軟性があるため、ビルの壁面のような垂直な場所や、耐荷重の低い工場の屋根、さらには円柱のような曲面にも貼り付けられるとされています。

これまで「重すぎて無理」、「場所がない」と諦めていた遊休スペースが、一気に発電所へと変わる可能性を秘めています。

②弱光発電

「太陽電池は晴れていないと意味がない」 そんなイメージをお持ちではないでしょうか。実のところ、ペロブスカイト太陽電池はこの点でも優れています。

光を吸収する感度が非常に高いため、曇りの日や雨の日、さらには朝夕の薄暗い光でも比較的高い電圧を維持して発電できます。さらに注目すべきは、室内のLED照明などの人工光でも発電が可能という点です。

これにより、オフィスの窓ガラスで発電して室内の空調電力に充てたり、室内のIoTセンサーの電源として活用したりと、屋外設置以外の用途も大きく広がります。

天候に左右されにくい安定性は、実運用において大きな強みとなるでしょう。

③低コスト

導入する上で最も気になるのは、やはり価格です。 シリコン太陽電池を作るには、原料を1400度以上の高温で溶かして結晶化させる工程が必要で、これには膨大なエネルギーとコストがかかります。

一方で、ペロブスカイト太陽電池は「塗布・印刷技術」で作ることができます。インクジェットプリンターで印刷するように製造できるため、製造時に必要な温度は100度から150度程度で済みます。

製造に必要なエネルギーが少なくて済むということは、製造コストも安くなるということです。現在はまだ量産体制の構築段階にあるため価格は高めですが、普及が進んで量産効果が出れば、シリコン型を遥かに下回る低コストで提供されると予測されています。経済産業省の試算でも、将来的には現在の発電コストを大きく下回る目標が掲げられています。

デメリット・課題|まだ普及していない理由 

夢のような技術に見えるペロブスカイト太陽電池ですが、もちろん完璧ではありません。実用化に向けて解決すべき課題も残されています。

導入を検討する際は、これらのデメリットについてもしっかり理解しておく必要があります。

①耐久性への懸念

最大の課題は「耐久性(寿命)」です。 ペロブスカイトの結晶は水分や酸素、熱に弱いという性質があります。

シリコン型太陽電池が20年から30年稼働するのが当たり前であるのに対し、初期のペロブスカイト太陽電池は数日で発電しなくなることもありました。

現在は封止技術(水分をブロックする技術)の進化により、耐久性は飛躍的に向上しています。実験室レベルでは1万時間を超える耐久試験をクリアする報告も出てきていますが、それでもシリコン型の信頼性にはまだ追いついていないのが現状です。

屋外で長期間雨風にさらされた際のデータ蓄積がまだ不十分であるため、メーカー各社はこの寿命をどこまで延ばせるかにしのぎを削っています。

②大型化の難しさ

2つ目の課題は「大型化」です。 ニュースなどで「変換効率26%達成!」といった発表を見かけることがありますが、これはあくまで数ミリ角の極小セルでの実験データである場合がほとんどです。

ペロブスカイト膜を大面積に、かつ均一に塗布するのは非常に難しい技術です。わずかでも塗りムラがあると、そこが抵抗となり全体の発電効率がガクンと落ちてしまいます。フィルムのように大きく引き伸ばしたモジュールサイズにすると、現状では効率が低下してしまう傾向にあります。

しかし、積水化学工業や東芝などの国内メーカーは、独自の塗布技術によりこの問題を克服しつつあり、実用サイズでもシリコン並みの効率を目指して開発が進んでいます。

③環境への影響

3つ目は環境面での懸念です。ペロブスカイト結晶の材料には、人体や環境に有害な鉛が含まれています。

「もしパネルが破損して、雨で鉛が流れ出したらどうするのか?」という懸念に対し、各メーカーは万が一破損しても鉛が漏れ出さない強力な封止構造を開発しています。また、そもそも鉛を使わない「鉛フリー」の材料開発も進められています。

とはいえ、従来のシリコンパネルに比べてリサイクルや廃棄時の取り扱いには、より厳格なルール作りが必要になるでしょう。

【比較】ペロブスカイト型 vs シリコン型太陽電池 

(Pixta素材番号:60136781)

ここで、従来のシリコン型とペロブスカイト型の違いを整理してみましょう。どちらが優れているかということではなく、用途に合わせた使い分けが重要になります。

重量・厚み・設置可能場所

項目シリコン型(結晶系)ペロブスカイト型
重量約10kg〜15kg/㎡約1kg/㎡程度(シリコンの約1/10)
厚み数cm(ガラス・アルミ枠を含む)数ミクロン〜mm単位(フィルム状)
柔軟性なし(硬くて曲げられない)あり(フィルムのように曲げられる)
主な設置場所戸建て屋根、野立て、強度の高いビル屋上耐荷重の低い屋根、ビル壁面、窓、EVなど
弱光特性光が弱いと発電効率が下がりやすい曇天時や室内光(LED等)でも発電可能

このように比較すると、ペロブスカイト型がシリコン型の市場を奪うというよりは、シリコン型が設置できなかった場所(壁面や弱い屋根)にペロブスカイト型が入り込み、太陽光発電の可能性を広げる関係にあることが分かります。

加えて言うと、シリコン太陽電池と組み合わせたタンデム構造で高効率化が期待されています。

発電効率と耐用年数 

発電効率(太陽の光をどれだけ電気に変えられるか)については、シリコン型のトップクラスが22%〜24%程度であるのに対し、ペロブスカイト型も研究レベルでは26%を超え、シリコンを追い抜きつつあります。

ただし、先述の通りこれは小さなセルの場合であり、製品としてのモジュール変換効率は、現状では15%〜18%前後で推移しているケースが多いようです。しかし技術の進歩は速く、数年以内にシリコン同等の20%超えが標準になると予想されます。

耐用年数については、シリコンが20年以上であるのに対し、ペロブスカイト型は上でも説明したような理由で、劣化による性能低下が懸念されています。

ペロブスカイト太陽電池の耐用年数は、現時点では10年程度が目標とされています。将来的には20年を目指していますが、導入初期は交換サイクルがシリコンより早い可能性があることを計算に入れておく必要があるでしょう。

コストパフォーマンスの現在地と将来予測

コストについてはどうでしょうか。 2026年現在は量産初期段階にあるため、製造コストはまだ割高です。しかし、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)や経済産業省のロードマップによれば、2030年には発電コストが業務用電力並み(14円/kWh以下)になり、将来的にはシリコン型よりも安価になることが期待されています。

原料が安く、製造エネルギーも少ないため、一度量産ラインが確立されれば価格競争力は圧倒的でしょう。「安くてどこにでも貼れる」時代が来るのは、そう遠い未来の話ではないかもしれません。

まとめ

当記事は、ペロブスカイト太陽電池の現在地と将来性について解説してきました。

もしニュースや報道などでペロブスカイト太陽電池について知り、今すぐ導入したい!と思ったとしても、家庭への普及はもうしばらく待つ必要があります。

一般的な住宅の屋根があり、今すぐ電気代を抑えたいのであれば、実績と耐久性が証明されているシリコン型がベストでしょう。

一方で、これまでのパネルが重すぎて載せられなかった場所や壁面などを活用したい場合は、ペロブスカイト型の本格的普及を注視なさってください。

将来に目を向けると、ペロブスカイト太陽電池は窓や壁、車など、あらゆる場所を効率的な発電所に変えるポテンシャルを秘めています。日本が主原料のヨウ素を自給できる点も、将来のエネルギー安定供給において大きな強みとなるでしょう。

改めてペロブスカイト太陽電池導入への判断基準を整理すると、設置場所の強度、導入を急ぐかどうか、そしてシリコンでは置けなかった場所を活用したいか、の3点に集約されます。

2030年頃の本格的な普及を見据えつつ、今はご自身の目的に合った技術を選択してください。

この記事を読んだ方におすすめ

あなたの家の屋根で、どれくらい発電できるか気になりませんか?
30秒で完了する無料シミュレーションをお試しください。

無料シミュレーションを試す

えねこ編集部
監修
えねこ編集部
編集長

日々進化する太陽光発電や蓄電池、補助金や優良企業の情報を包み隠さずお伝えすることを心がけています。