太陽電池アレイとは?特徴や設計ポイント・メンテナンスについて解説

太陽光発電・蓄電池

太陽光発電の導入を検討していると、太陽電池アレイといった言葉を目にする機会があります。効率的な発電システムを導入するには、アレイの仕組みを理解することが大切です。本記事では、太陽電池アレイの特徴や設計ポイント、メンテナンスについて解説します。

太陽電池アレイの特徴

太陽光発電パネルの展示

太陽電池アレイとは、太陽電池モジュールや太陽電池パネルを架台などに取り付け、機械的・電気的に一体化した集合体のことです。住宅の屋根に設置する太陽光発電設備から、メガソーラーなどの大規模な設備まで幅広く用いられています。

JPEAによる太陽電池アレイの定義

JPEA(一般社団法人太陽光発電協会)では、「太陽電池架台及び/又は基礎、その他の工作物をもち、太陽電池モジュール又は太陽電池パネルを機械的に一体化し、結線した集合体」と説明されています。

太陽電池アレイは、複数の太陽電池モジュールやパネルを組み合わせ、架台などに取り付けて構成した集合体を指す専門用語です。

出典:用語集|JPEA

太陽電池アレイの役割

太陽電池アレイは太陽光エネルギーを効率よく直流電力に変換し、電力を取り出すことが主な役割です。太陽電池モジュールは単体でも発電できますが、複数のモジュールを組み合わせることで、システムに必要な電圧や電流を確保しやすくなります。

複数のモジュールを直列、並列に接続してアレイを構成することで、システムに必要な電圧や電流に合わせた出力を得られるようにします。

屋根置き型と野立て型

太陽電池アレイの代表的な設置方法には、屋根置き型と地上に設置する野立て型があります。このほか、営農型や水上設置型など、用途や設置環境に応じたさまざまな方式があります。屋根置き型は戸建て住宅や工場の屋根に架台などを設置し、屋根の形に合わせて太陽電池モジュールを配置する方式です。

一方で、野立て型は、地上に架台や基礎を設置し、その上に太陽電池モジュールを配置する方式です。設置場所の地盤や環境などに応じて、適切な基礎や架台を選択します。

太陽電池アレイとセル・モジュール・ストリングの違い

パソコンを見ながら説明する人

太陽電池は、構成する単位の大きさによって以下のように呼び方が変わります。

  • セル
  • モジュール
  • ストリング
  • アレイ

それぞれの違いを理解しておきましょう。

セル|太陽電池を構成する最小単位

セルとは、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する半導体素子であり、太陽電池を構成する最小単位です。結晶シリコン系の太陽電池セルでは、セル1枚が発生する電圧は約0.5〜0.6Vです。そのため、必要な電圧や出力を得るために複数のセルを接続してモジュールを構成します。

そのため、一般的な家電製品の電源として利用するには、複数のセルを組み合わせる必要があります。複数のセルを接続して、必要な電圧や出力を確保することが太陽光発電設備では重要です。

出典:太陽光発電の基礎知識|JPEA

モジュール|複数のセルをまとめた1枚のパネル

モジュールとは、複数のセルを接続し、耐環境性を確保するためにガラスや樹脂、フィルムなどで覆ってパッケージ化した発電ユニットです。一般に太陽光パネルやソーラーパネルとよばれることもありますが、JPEAでは「太陽電池モジュール」と「太陽電池パネル」を区別しています。

一般的な太陽電池モジュールは、表面を強化ガラスで覆っており、アルミフレームなどを使って屋外環境に耐えられる構造になっています。

ストリング|複数のモジュールを直列接続した回路

ストリングとは、複数枚の太陽電池モジュールを直列接続して結線した集合体です。モジュールを直接接続すると、各モジュールの電圧が加算されます。

例えば、1枚あたり20Vのモジュールを6枚直列に接続すると、理論上は120Vの電圧になります。設置スペースやパワーコンディショナなどの仕様に応じて、1ストリングを構成するモジュール数やストリング数を設計することが大切です。

アレイ|モジュールまたはパネルを架台・基礎などと機械的に一体化し、結線した集合体

アレイとは、複数の太陽電池モジュールまたは太陽電池パネルを架台などに取り付け、機械的・電気的に一体化した集合体です。複数のモジュールを直列や並列に接続し、架台などに設置して一体化することでアレイを構成します。

セルを複数組み合わせることでモジュールが構成され、複数のモジュールを直列接続するとストリングになることが特徴です。さらに、複数のモジュールやパネルを架台などに取り付け、必要な配線を行うことでアレイを構成します。

太陽電池アレイの構成要素と周辺機器

太陽光発電システムのパワーコンディショナー

太陽光発電設備は、太陽電池モジュールを設置するだけでなく、架台や接続箱、パワーコンディショナなどの機器を組み合わせて構成されます。これらの機器が連携することで、発電した電力を利用できる仕組みが成り立っています。

  • 太陽電池モジュール
  • 太陽電池架台・基礎
  • 接続箱・集電箱
  • パワーコンディショナ

太陽電池モジュール

太陽電池モジュールは、太陽光エネルギーを直接電気エネルギー(直流)に変換する発電ユニットです。太陽電池モジュールの変換効率は向上しており、限られた設置面積でも一定の出力を確保しやすくなっています。

複数のモジュールを直列、並列に接続することで、必要な電圧や電流に合わせて発電システムを構成します。また、内部のセルを紫外線や雨風から保護することも大きな役割です。

太陽電池架台・基礎

太陽電池架台および基礎は、モジュールを所定の方位や傾斜角度で設置し、太陽光発電システムを物理的に支える役割を担います。一般的に鋼やアルミ合金などが使用され、屋外での長期使用を考慮した構造になっています。

台風時の吹き上げ荷重や積雪荷重などを考慮し、必要な強度を確保するためにも重要な部材です。

接続箱・集電箱

接続箱とは、太陽電池モジュールを直列接続したストリングからの配線をまとめるための装置です。一般的な接続箱には、点検・保守に使用する開閉器、雷サージから設備を保護するSPD(避雷素子)、逆流を防止するダイオードやヒューズなどが設けられています。ただし、システムによっては接続箱を使用せず、ストリングを直接パワーコンディショナへ接続する構成もあります。

また、回路を分離して点検や保守を行えるよう、開閉器などが設置されていることが特徴です。

パワーコンディショナ

パワーコンディショナは、太陽電池モジュールで発電した直流電力を交流電力に変換し、建物内で利用できる電力にする機器です。また、太陽電池から最大限の電力を引き出すよう制御する機能も備えています。

また、商用電力系統との連系に必要な保護機能を備えており、停電時には自立運転機能によって電力を供給できる機種もあります。太陽電池アレイの電力変換や制御を担う重要な機器といえるでしょう。

太陽電池アレイの容量と発電量

太陽光発電の前に立つ電気工事業者の作業

太陽光アレイでは、設置するモジュールの出力から算出する設備容量と、実際に得られる発電電力量を分けて考えることが必要です。また、設備容量の算出方法や、実際の発電量に影響する要因についても理解しましょう。

アレイ容量はモジュール出力×設置枚数で計算する

太陽電池アレイの容量はモジュール1枚あたりの最大出力に設置枚数を掛けて算出します。計算式は次の通りです。

アレイ容量(kW) = モジュール1枚あたりの最大出力(W) × 設置枚数 ÷ 1,000

出典:【太陽光パネル(モジュール)発電量計算の完全ガイド】シミュレーションから費用対効果まで徹底解説|宮崎電力

例えば、出力が400Wのモジュールを10枚設置して一つのアレイとする場合は、400W×10枚÷1,000=4.0kWがアレイ容量です。この数値は、モジュールの定格出力を合計した設備容量を示します。実際の発電出力は、日射量や温度などの条件によって変動します。

アレイ容量が大きいほど最大発電能力も大きくなる

同じ条件で比較した場合、アレイの設備容量が大きいほど、発電できる電力も大きくなります。理論上、同じ条件であれば、4kWのアレイと8kWのアレイでは、定格出力は2倍です。

ただし、太陽電池側の容量とパワーコンディショナの容量は必ずしも同じではありません。太陽電池側の容量をパワーコンディショナ側より大きくする「過積載」と呼ばれる設計もあります。

実際の発電量は日射量・温度・影などによって変わる

アレイの設備容量が同じであっても、実際の発電量は日射量や温度、影などによって変動します。日射強度に加えて、モジュールの温度上昇も発電出力に影響します。特に結晶シリコン系の太陽電池では、温度が上昇すると出力が低下する傾向があるので注意しましょう。

さらに、隣家や電柱などによる影や配線ケーブル内の抵抗ロスなども発生します。

太陽電池アレイの設計ポイント

POINT ポイントの文字ブロック

太陽電池アレイを効率的に稼働させるためには、適切な配線設計が必要です。それぞれの配線の特徴を知った上で、適切な設計を行うことが重要です。

直列配線|モジュールを直列に接続して必要な電圧を確保する

モジュールを直列に接続し、必要な電圧を確保する配線方法が直列配線です。パワーコンディショナには、正常に電力変換するための動作電圧範囲が設定されています。

直列に並べるモジュールが少なすぎると、パワーコンディショナの動作電圧範囲に達せず、起動しない場合があります。また、多すぎて入力電圧の上限値を超えると機器の破損につながることも少なくありません。そのため、安全で適切な枚数を決定する必要があります。

並列配線|ストリング同士を並列に接続する

複数のストリングを並列に接続することで、アレイを構成します。並列接続すると、各ストリングの電流が合算され、必要な電流を確保することが可能です。

例えば、1ストリングあたりで約10Aの電流がある場合、3つ並列接続した場合は約30Aとなります。また、並列接続したストリングの合計電流が、パワーコンディショナの最大入力電流を超えないように設計する必要があります。

並列接続するストリングは電圧をそろえる

ストリングを並列接続する場合は、それぞれの電圧条件を揃えましょう。電圧が異なるストリングを並列接続すると、ストリング間で電流が流れるなど、異常な状態につながるおそれがあります。

このような状態では、発電量の低下だけでなく、異常発熱などの不具合につながるおそれがあります。

影の影響を受けにくいレイアウトにする

太陽電池アレイを設置するにあたって、影の影響を受けにくいレイアウトが重要です。直接接続されたストリング内のモジュールに影がかかると、ストリングの発電量が低下する場合があります。

前列のアレイによる影が後列のアレイにかからないよう、アレイ間の離隔距離などを考慮する必要があります。また、影の影響を最小にするために、全体的なレイアウトにも配慮が求められます。

最適な設置角度と方位角で設置する

年間の総受光量を高めるためには、最適な設置角度と方位角で設置することが大切です。東京を例にすると、年間の日射量が大きくなる条件は、真南向きで傾斜角が30度とされています。傾斜角については、こちらの記事をご確認ください。

ソーラーパネルの最適角度は何度?地域別の目安や発電ロスを抑える方法

ただし、実際の設計では、設置場所の緯度や方位、周辺の日影条件、屋根形状などを考慮するようにしましょう。

風圧・積雪荷重を考慮して架台を設計する

太陽電池アレイの設計は、長期間の使用を想定し、風圧荷重や積雪荷重などを考慮する必要があります。また、台風などによる強風を想定した風圧荷重への対策も必要です。

豪雪地域では、地域の積雪条件に応じて、架台や基礎の強度を確保する必要があります。環境に合わせて安全性を満たした適切な架台を設計しましょう。

太陽電池アレイに必要なメンテナンス

案内をする女性

太陽電池アレイは屋外に設置されるため、自然災害や経年劣化などによる異常が生じる可能性があります。そのため、次のメンテナンスを実施することが大切です。

  • フレームの変形やガラス破損を確認する
  • 架台・配線・接続部の異常を確認する
  • 絶縁抵抗測定や開放電圧測定は専門業者に依頼する

フレームの変形やガラス破損を確認する

フレームの変形やガラス破損であれば、安全な場所から目視でチェックできます。飛来物や投石などによって、強化ガラスに破損がないか確認しましょう。

ガラスが破損すると、発電性能の低下や内部への水分侵入などにつながるおそれがあります。また、破損した設備には感電などの危険があるため、異常を確認した場合は専門業者へ相談することが重要です。

また、強風や積雪などによってフレームや架台が変形する場合も少なくありません。普段からチェックしておけば、早めに対処できます。

架台・配線・接続部の異常を確認する

アレイを支える架台や配線、接続部などが正常であるか普段から点検しましょう。架台やボルトなどに、さび、腐食、緩み、破損がないかを確認します。

また、配線ケーブルの損傷やコネクタ部分の異常なども確認します。異常が疑われる場合は、専門業者に点検を依頼しましょう。

絶縁抵抗測定や開放電圧測定は専門業者に依頼する

内部回路の異常や劣化については、目視では判別できません。そのため、絶縁抵抗測定や開放電圧測定などは、専門業者に定期的な点検を依頼しましょう。

漏電リスクがないか、設計通りの電圧値がでているかどうかなどを把握できます。点検は危険が伴うため、必ず専門の事業者に依頼することが重要です。

太陽電池アレイに関するQ&A

Q&Aのイラスト

太陽電池アレイに関するよくある質問をまとめました。詳しく知りたい方は参考にしてください。

太陽電池パネルと太陽電池アレイの違いは何ですか?

JPEAの用語では、太陽電池パネルは、現場で取り付けられるよう複数の太陽電池モジュールを機械的に結合し、結線した集合体を指します。一方、太陽電池アレイは、太陽電池モジュールまたはパネルを架台や基礎などと機械的に一体化し、結線した集合体です。なお、一般には太陽電池モジュールを「太陽光パネル」「ソーラーパネル」と呼ぶこともあります。

太陽電池アレイは何枚のパネルで構成されますか?

アレイを構成するパネルの枚数は決まっているわけではありません。設置場所の広さや発電容量によって、適した枚数を選びます。

戸建て住宅でも、屋根の広さや形状、1枚あたりの出力、必要な設備容量などによって設置枚数は異なります。一方で産業用の太陽光発電では数千枚以上のパネルを使うケースも少なくありません。

太陽電池アレイの容量はどのように計算しますか?

太陽電池アレイの容量は、次の式で計算します。

モジュール1枚あたりの公称最大出力(W) × 設置枚数÷ 1,000

つまり、400Wのモジュールを10枚設置した場合は、容量は4,000W(4kW)です。

太陽電池アレイに寿命はありますか?

太陽電池モジュールの耐用年数は、一般的に20〜30年程度とされています。ただし、長期間使用すると、経年劣化によって発電性能が低下する場合があります。

また、架台やボルトなども、定期的なメンテナンスによって、劣化や異常を早期に発見し、設備を適切な状態に維持しやすくなります。

強風で太陽電池アレイが損傷する可能性はありますか?

太陽電池アレイは、台風などの強風によって損傷する可能性が少なくありません。実際に、強風によるモジュールの飛散や架台の損傷などの被害事例も報告されています。

そのため、設置場所の条件に応じて風圧荷重などを考慮し、必要な強度を確保した施工を行うことが重要です。

パネルにかかる影は太陽電池アレイの発電量に影響しますか?

1枚のパネルに影がかかるだけでも、発電量が低下する場合があります。影のかかったモジュールでは発電量が低下し、ストリング全体にも影響する場合があります。

影による発電量の低下を抑えるため、影の影響を受ける時間帯や範囲を考慮して、アレイの配置やストリング構成を検討することが重要です。

太陽電池アレイのメンテナンスは業者に依頼するべきですか?

太陽電池アレイの点検は高所作業や電気設備の取り扱いを伴う場合があります。そのため、詳細な点検や測定は専門業者に依頼することが重要です。また、サーモグラフィカメラを使った調査や絶縁抵抗の測定などは、専門知識と機材が必要です。

住宅用の太陽光発電システムでは、設置後1年目、その後は4年に1度の定期点検が推奨されています。設備の種類や規模によって点検頻度は異なるため、メーカーや専門業者に確認しましょう。

太陽電池アレイの特徴を把握して太陽光発電を効率的にしよう

太陽電池アレイは、セルやモジュール、ストリングを機械的に組み合わせて構成される発電設備です。発電性能を高め、安全に運用するためには、電気的な条件だけでなく、日影や設置角度、風圧・積雪荷重などを考慮して設計する必要があります。また、長期的に安全に運用するため、定期的な点検・保守によって設備の状態を確認することが重要です。

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