【2026年(令和8年)】岐阜県の太陽光発電補助金はいくら?金額・条件・申請方法を解説

最終確認日:2026/09/18
この記事の要約 岐阜県には個人住宅向けの太陽光発電・蓄電池への直接補助金(現金給付)はなく、県が実施しているのは価格を下げる共同購入事業「みんなのおうちに太陽光」です。一方で県内の市町村を見ると、大垣市・山県市・飛騨市のように太陽光単体で申請できる補助がある自治体と、多治見市・恵那市のように蓄電池等との同時設置が条件になる自治体が混在しています。岐阜市は令和8年度に太陽光への補助を取りやめ、各務原市・羽島市は制度そのものを終了するなど、市によって状況が大きく異なるのも特徴です。この記事では、国のセット型支援と岐阜県内の市町村の補助状況、費用シミュレーション、申請の流れまでをまとめて解説します。
岐阜県でもらえる太陽光発電の補助金はいくら?【結論】
岐阜県で太陽光発電を導入する場合、補助金は「国+岐阜県+市区町村」の3層で考えます。この3層で岐阜県を見ると、次のようになります。
| 区分 | 補助の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 国(みらいエコ住宅2026等) | 太陽光だけを対象にした補助はありません。GX志向型住宅なら1戸あたり110万円、飛騨市のように省エネ基準の寒冷地区分に入る市町村なら125万円といったセット型の支援になります | 住宅省エネ2026キャンペーン公式 |
| 岐阜県(独自補助) | 個人住宅向けの直接補助(現金給付)は確認できず。太陽光パネル・蓄電池をお得に購入できる共同購入キャンペーン「みんなのおうちに太陽光」を実施(価格を下げる仕組みで、補助金ではない) | 岐阜県公式 太陽光パネル・蓄電池共同購入キャンペーンの参加者を募集します |
| 市区町村(独自補助) | 市により異なる。大垣市・山県市・飛騨市は太陽光単体で7万円/kW(上限35万円)程度、多治見市・恵那市は蓄電池等との同時設置が条件で1万〜1.5万円/kW(上限5万〜6万円)など。岐阜市は令和8年度に太陽光への補助を取りやめ | 各市公式(後述) |
県として個人住宅に直接お金を出す制度はない一方、県内の複数の市が独自の補助を実施しています。ただし太陽光単体で申請できるか、蓄電池などとの同時設置が必須かは市によって条件が分かれます。まずは国の位置づけから見ていきます。
国の制度:太陽光発電に直接補助はある?【全国共通】

太陽光発電の補助金を国レベルで探すと、まず知っておきたい前提があります。それは、住宅用太陽光発電への「単体の国補助」は現在ありません。かつて実施されていた住宅用太陽光発電導入支援補助金は2014年(平成25年度)で終了しています。
ただし、太陽光発電を含む省エネ住宅・脱炭素設備をセットで導入する場合は、国が支援する制度がいくつかあります。太陽光発電の設置費用を直接下げる制度ではなく、「太陽光を含む住宅要件を満たすと補助が出る」「太陽光と一緒に蓄電池を入れると蓄電池側で補助が出る」といった形です。順に見ていきます。
みらいエコ住宅2026事業(住宅省エネキャンペーン)
みらいエコ住宅2026事業は、国土交通省・環境省・経済産業省の3省連携で実施される「住宅省エネ2026キャンペーン」の柱です。省エネ性能の高い新築住宅の購入や既存住宅の省エネリフォームを対象に、住宅単位で補助金が支給されます。太陽光は「GX志向型住宅」の要件のひとつになっており、住宅全体で高い省エネ性能を満たすことで補助が受けられます。
新築住宅の主な補助上限額は次のとおりです。
- GX志向型住宅:1戸あたり110万円(温暖地5〜8地域)/125万円(寒冷地1〜4地域)※全世帯が対象
- 長期優良住宅:1戸あたり75万円(温暖地)/80万円(寒冷地)※若者夫婦世帯・子育て世帯限定
- ZEH水準住宅:1戸あたり35万円(温暖地)/40万円(寒冷地)※若者夫婦世帯・子育て世帯限定
岐阜県は岐阜市・大垣市の一部など平野部の大部分が6地域(温暖地5〜8地域の区分)に含まれますが、県北部は寒冷地1〜4地域の区分に分かれます。飛騨市・白川村・郡上市(旧高鷲村)・下呂市(旧小坂町・旧馬瀬村)が3地域、高山市・中津川市(旧山口村ほか)・本巣市(旧根尾村)が4地域です。
出典:国土交通省 地域区分新旧表(告示第265号 別表第10)
同じ岐阜県内でも、住宅の所在地によってGX志向型住宅の上限額が110万円か125万円かが変わる点は覚えておく価値があります。
DR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・SII)
DR家庭用蓄電池事業は、経済産業省の予算でSII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)が運営する家庭用蓄電池への補助制度で、太陽光と組み合わせた自家消費・DR(需要側の電力調整)に活用できる蓄電池に1申請あたり最大60万円が補助されます。
出典:DR家庭用蓄電池事業
ただし令和7年度補正は2026年5月29日に予算到達で公募が終了しています(再開予定なしと公式に明記)。令和8年度補正での再開有無は経産省・SII公式で最新情報を確認しましょう。太陽光と蓄電池を同時に検討している家庭は、次年度事業の情報が出た段階で早めに動くのが得です。
FIT・FIP制度と自家消費への移行
太陽光発電で発電した電気は、FIT(固定価格買取制度)またはFIP制度で電力会社に売電できます。住宅用(10kW未満)はFITが基本で、期間は10年間です。
2026年度から住宅用10kW未満のFIT買取単価には初期投資支援スキームが導入され、導入から1〜4年目は24円/kWh、5〜10年目は8.3円/kWhの二段階単価になります。
出典:資源エネルギー庁 買取価格・期間等(2026年度以降)
初期4年間は買取単価を高めに設定して投資回収を早め、5年目以降は市場価格に近い水準まで下がるため、自家消費に切り替える設計が経済的に有利になります。
近年は「4年間は高単価売電で回収し、5〜10年目は自家消費比率を高め、卒FIT後は蓄電池・EV充電で自家消費に完全移行する」という3段階の設計が主流です。蓄電池を併設して昼間の余剰電力を貯める、オール電化やV2H(EV連携)で家庭内消費を増やすことで、電気代削減の効果を長く得られます。
税制優遇(住宅ローン減税・固定資産税減額)
太陽光発電への直接の税優遇ではありませんが、太陽光を要件に含む認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準)では、住宅ローンの減税や借入限度額が引き上げられ、新築住宅の固定資産税減額の期間が延長されます。
新築で太陽光を検討する場合、住宅認定と組み合わせて総合的な負担軽減を計算するのが得です。
国と自治体の補助金は併用できる?
国のみらいエコ住宅2026事業は、都道府県・市区町村の独自補助と原則併用できます(自治体により例外あり)。岐阜県内の市区町村補助についても、多くは国の補助との重複を明示的に禁止していませんが、契約前に各市の要綱で併用条件をご確認ください。
岐阜県・市区町村の独自補助金
岐阜県内の独自補助を、県→市区町村の順に見ていきます。
岐阜県の独自補助
岐阜県として、家庭向けの太陽光発電・蓄電池への直接の補助金(現金給付)は確認できませんでした。代わりに、太陽光パネル・蓄電池をスケールメリットで安く購入できる共同購入キャンペーン「みんなのおうちに太陽光」を実施しています(アイチューザー株式会社との協定)。参加登録した家庭がまとめて発注することで価格を下げる仕組みで、工事費の一部が戻ってくる補助金とは別物です。10kW未満の家庭向けプランは太陽光パネルのみ・太陽光パネル+蓄電池・蓄電池のみの3種類から選べ、令和8年度は12月10日まで募集しています。
出典:岐阜県「太陽光パネル・蓄電池共同購入キャンペーンの参加者を募集します」
なお、岐阜県中小企業等脱炭素化促進事業費補助金(太陽光5万円/kW、蓄電池は太陽光との同時設置時に最大6.3万円/kWh)もありますが、これは事業を営む工場・店舗など事業者向けの制度で、個人住宅は対象外と公式ページに明記されています。
出典:岐阜県中小企業等脱炭素化促進事業費補助金(太陽光発電設備等導入事業)
県として直接お金を出す制度はない分、岐阜県内で太陽光発電の実質負担を下げられるかどうかは、住んでいる市の制度に大きく左右されます。
主要市区町村の補助額一覧(令和8年度の実施状況)
岐阜県内の市でも、独自の補助を設けているところが複数あります。太陽光発電は屋根の面積・向き・築年数が要る戸建て向けの設備のため、戸建てが多い市ほど活用しやすく、補助の有無や金額、そして太陽光単体で申請できるかどうかも市ごとに異なります。個別に確認した結果、次の5市で補助を実施しています。
| 市 | 太陽光発電の補助 | 補足条件 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 大垣市 | 7万円/kW(上限35万円、5kW) 出典:大垣市 太陽光発電設備等設置費補助金について | 「太陽光発電設備等設置費補助金」。太陽光単体で申請可能です。蓄電池は1kWhあたりの価格(工事費込み・税抜き、上限14.1万円)の3分の1で、補助上限は23.5万円(5kWh分)。事前申請必須、受付は令和8年5月1日〜令和9年2月12日、募集件数は太陽光70件程度。新築・既存とも対象、FIT・FIP不可、自家消費30%以上が条件 | 大垣市 太陽光発電設備等設置費補助金について |
| 山県市 | 7万円/kW(上限35万円相当、5kW) 出典:山県市 令和8年度カーボン・マイナス・シティ推進家庭用補助金 | 「カーボン・マイナス・シティ推進家庭用補助金」。太陽光単体で申請可能ですが、発電電力の30%以上を自家消費することが要件です。蓄電池は価格の1/3(上限5kWh相当)、HEMSは価格の2/3(上限10万円)が別枠。事前申請必須、受付は令和8年5月1日〜令和9年1月29日の先着順。FIT・FIP不可、国・県の他補助との併用不可 | 山県市 令和8年度カーボン・マイナス・シティ推進家庭用補助金 |
| 飛騨市 | 7万円/kWと実工事費の低い方(上限35万円、5kW) 出典:飛騨市 令和8年度 太陽光発電設備設置費補助金 | 「太陽光発電設備設置費補助金」。太陽光単体で申請可能です。蓄電池は太陽光発電設備との同時設置だけでなく、2026年度からは既設の太陽光発電設備の付帯設備として設置する場合は、蓄電池単体での補助対象です。 工事費込み価格の1/3(上限25.8万円)。事前申請必須(交付決定後の契約・着工が条件)、FIT・FIP不可、自家消費30%以上が条件。予算304万円 | 飛騨市 令和8年度 太陽光発電設備設置費補助金 |
| 多治見市 | 1.5万円/kW(上限6万円) 出典:多治見市 住宅用新エネルギーシステムの補助制度 | 「住宅用新エネルギーシステム設置事業補助金」。太陽光単体では対象外で、エネファーム・蓄電池・V2Hのいずれかとの同時設置が条件です。蓄電池は別枠で1万円/kWh(上限10万円)。事前申請制で、工事着手2週間前までの予約申込が必要。受付は令和8年4月1日〜令和9年3月31日の先着順、契約日は令和8年4月1日以降が対象 | 多治見市 住宅用新エネルギーシステムの補助制度 |
| 恵那市 | 1万円/kW(上限5万円、5kW) 出典:恵那市 住宅用新エネルギーシステム設置事業補助金 | 「住宅用新エネルギーシステム設置事業補助金」。令和8年度から太陽光単体は対象外となり、定置用蓄電池システムとの同時設置が必須条件になりました。蓄電池は別枠で3万円/kWh(上限15万円)。事前申請必須 | 恵那市 住宅用新エネルギーシステム設置事業補助金 |
詳しくは各自治体のホームページをご確認ください。上記以外の主要市では、次のような状況です。
- 岐阜市:令和8年度は太陽光発電への補助を実施せず、家庭用蓄電池のみが対象です。しかも蓄電池は既設の太陽光発電設備に附帯する設置であることが条件で、公式ページにも「岐阜市では、令和8年度は太陽光発電設備に関する補助は行いません」と明記されています。
- 各務原市:令和7年度まで実施していた太陽光発電設備等設置費補助金は、令和7年度限りで終了しました。令和8年度時点で家庭向けの後継制度は確認できていません。
- 羽島市:令和8年度は太陽光発電設備等設置費補助金の実施予定がないと公式に明記されています。令和7年度分も予算上限に達して受付を停止していました。
- 可児市・関市・土岐市:いずれも令和8年度分の受付を実施していましたが、予算上限に達したため既に受付を終了しています(可児市は7月29日、土岐市は7月10日に終了。関市は6月上旬時点で受付終了と公式に表示)
出典3:土岐市 令和8年度 住宅用エネルギーシステム設置費補助金
- 中津川市:住宅用太陽光発電システム自体を単体で補助する制度は現在なく、すでに太陽光を導入している(または同一年度内に導入する)住宅を対象に、蓄電池・V2H・次世代自動車などを補助する設計になっています。
上記以外の市町村でも独自補助が実施されている場合があります。お住まいの市町村の公式ページで、最新の対象設備・金額・受付状況を確認するのが確実です。とくに岐阜県内は予算上限に達して年度の途中で受付を終了する市が多いため、検討を始めたら早めに確認しましょう。
国・岐阜県・市区町村は併用できる?
国のみらいエコ住宅2026事業は、市区町村の独自補助と原則併用できます。岐阜県の共同購入キャンペーンは補助金ではなく価格低減の仕組みのため、市の補助と組み合わせて使える可能性がありますが、各市の要綱に「他の補助事業との重複は不可」といった条件がある場合があります。契約前に、利用したい市の要綱で併用条件をご確認ください。
岐阜県の日照時間・気候と太陽光発電の相性
岐阜県は内陸に位置し、南部の濃尾平野と北部の飛騨地方で気候が大きく異なる地域です。岐阜地方気象台で観測された年間日照時間の平年値(1991〜2020年)は2,108.6時間で、全国的にも高い水準にあります。
出典:気象庁 岐阜 平年値
岐阜市・大垣市・羽島市など南部の濃尾平野は年間を通じて温暖で日照に恵まれており、太陽光発電が発電量を確保しやすい地域です。
一方、高山市・飛騨市・郡上市など北部の飛騨地方は豪雪地帯にあたり、冬季は積雪が長期間残ります。屋根に雪が積もると発電量が大きく落ち込むほか、パネルへの積雪荷重や落雪も考慮する必要があるため、飛騨地方で太陽光発電を導入する場合は積雪対策が欠かせません。具体的な留意点は次のパネル選びのセクションで解説します。
多治見市は全国的にも夏の高温で知られる内陸都市です。2007年8月には当時の国内観測史上最高となる40.9度を記録しており、東濃地方は夏場の気温が高くなりやすい地域です。夏の高温はパネルの変換効率をわずかに下げる一方、快晴日数の多さと日照時間の長さが発電量を後押しするため、年間でみれば岐阜県は太陽光発電と相性の良い地域といえます。
電気料金は中部電力ミライズの供給エリアで、従量電灯B(規制料金)の電力量料金は、第1段階(120kWhまで)21.20円、第2段階(120〜300kWh)25.67円、第3段階(300kWh超)28.62円/kWh(いずれも税込)です。
電気代の高止まりが続く局面では、自家消費比率を上げる太陽光の効果が家計に直結します。
太陽光との組み合わせが特に効くケース
- 濃尾平野の南向き屋根:日射を遮るものが少なく勾配のある屋根は、県南部の日照条件をそのまま発電量に変えられます
- 冷房の使用量が多い住まい:東濃地方の内陸部のように夏の気温が上がりやすい地域では、冷房を使う時間帯と発電のピークが重なります
- オール電化住宅:給湯・調理・冷房を電気でまかなうため、日中に回せる消費量が多くなります
- EV・PHEVを保有する家庭:昼間に充電すれば走行分の電気を発電分に置き換えられます。V2Hを併設すれば停電時の備えにもなります
太陽光発電の容量・パネル選びのポイント(岐阜県事情)

岐阜県では、屋根に載る最大容量より先に「お住まいの市の補助が何kWで頭打ちになるか」と「自家消費の要件を満たせるか」を押さえると、容量の判断がしやすくなります。同じ5kWでも、市によって受け取れる額が7倍前後変わるためです。
- 上限に届くkW数から逆算する:大垣市・山県市・飛騨市は7万円/kWで上限35万円のため、5kWちょうどで上限に届きます。6kW・7kWと載せても補助額は35万円のままなので、5kWを超える分は補助なしの費用対効果で判断することになります。多治見市は1.5万円/kW・上限6万円で4kW、恵那市は1万円/kW・上限5万円で5kWが区切りです。
- 自家消費30%の要件から容量の上限を考える:大垣市・山県市・飛騨市はいずれも発電量の30%以上を自宅で使うことが条件です。屋根の広さに任せて容量を大きくすると、日中に使う量に対して発電が過大になり、要件を満たしにくくなります。世帯の日中の電気の使い方から逆算して決めましょう。
- セット必須の市では蓄電池の容量とまとめて設計する:多治見市はエネファーム・蓄電池・V2Hのいずれか、恵那市は蓄電池との同時設置が補助の条件です。太陽光のkW数だけ先に決めてしまうと、条件を満たせず補助を取り逃がします。
- 飛騨地方は積雪を前提に架台と設置角度を決める:高山の年間降雪量の平年値(1991〜2020年)は305cmです。
出典:気象庁 高山 平年値
積雪荷重に耐える強度の架台と、雪が滑り落ちやすい角度をまず条件として固めます。落雪の向きと玄関・カーポート・隣地との位置関係、耐雪仕様の太陽光パネルや雪止め金具の要否も、施工前に業者と確認しましょう。
- 新築なら省エネ基準の地域区分で国の補助額が変わる:告示第265号の区分では、飛騨市は寒冷地の区分(1〜4地域)、大垣市・山県市・多治見市・恵那市は温暖地の区分(5〜8地域)に入ります。
GX志向型住宅の上限額が110万円か125万円かはここで分かれるため、新築で検討している場合はご自宅の市町村がどちらの区分かを確認しておくと計画を立てやすくなります。
- 東濃の内陸部は温度特性で機種を絞る:パネルは温度が上がるほど変換効率が下がる性質があります。夏に気温が上がりやすい地域では、高温時の出力低下率が小さい機種を選ぶと真夏の発電量を確保しやすくなります。屋根の形状と日射条件に合わせて、変換効率・保証・価格のバランスで比べましょう。
- 海に面していない分、防食仕様に費用をかけずに済む:岐阜県は内陸県のため、沿岸部で必要になる塩害対策を前提にしなくてよい環境です。その分の予算は、耐雪性能や保証の手厚さに振り向けるほうが県内では効きます。
- 保証は積雪・落雪による損害まで見る:出力保証と製品保証の年数だけでなく、自然災害補償が積雪や落雪による破損を対象にしているか、免責金額がいくらかを見積もりの段階でご確認ください。築年数の古い屋根は葺き替えや補強が必要になる場合があるため、積雪荷重を含めた屋根診断を先に受けておくと安心です。
蓄電池・V2H・HEMSとのセット導入で補助はどう変わる?
岐阜県では、これらの設備は「太陽光に足すと補助が増える設備」であると同時に、市によっては「入れないと太陽光の補助そのものを受けられない設備」でもあります。多治見市・恵那市がその型です。
- 蓄電池:大垣市(工事費込み価格の1/3、上限23.5万円)、飛騨市(同1/3、上限25.8万円)、多治見市(1万円/kWh、上限10万円)、恵那市(3万円/kWh、上限15万円)と、市によって算定方法も上限額も異なります。恵那市の3万円/kWhは5kWh分で上限に届く計算で、それ以上の容量を積んでも補助額は15万円で止まります。
- V2H:EVに貯めた電気を家庭側でも使えるようにする設備です。多治見市は太陽光と組み合わせる相手としてV2Hを認めているため、EVの保有や購入予定があるなら、蓄電池ではなくV2Hでセット条件を満たす選び方もできます。
- HEMS:家庭の電気の使用量を見える化し、機器の運転を制御する仕組みです。山県市は太陽光・蓄電池と並べてHEMSも補助の対象にしています。国のみらいエコ住宅2026事業でも、GX志向型住宅は高度エネルギーマネジメント(ECHONET Lite AIF仕様に対応したコントローラ)の導入が要件に含まれます。
国のDR家庭用蓄電池事業は令和7年度補正の受付が終了しているため、蓄電池の補助は当面、市の制度が中心になります。岐阜県内では、住んでいる市が「太陽光単体可」か「セット必須」かで、蓄電池を同時に入れるか後付けにするかの判断が変わります。大垣市・山県市・飛騨市のように単体で申請できる市なら、太陽光を先に入れて、蓄電池は価格や補助の動きを見ながら後から足す組み立ても取れます。多治見市・恵那市では同時設置が前提になるため、太陽光と蓄電池の初期費用をまとめて見積もることになります。
FIT売電 vs 自家消費:岐阜県ならどちらが得?
岐阜県では、この選択が経済計算より先に補助の要件で決まる場合があります。太陽光単体で申請できる大垣市・山県市・飛騨市は、いずれもFIT・FIPの認定を受けないことを補助の条件にしており、発電量の30%以上を自宅で使うことも求めています。この3市で補助を受けるなら、売電収入を柱にした設計は選べません。
そのうえで単価を並べます。FITの買取単価は1〜4年目が24円/kWh、5年目以降が8.3円/kWhです。
出典:資源エネルギー庁 買取価格・期間等(2026年度以降)
一方、中部電力ミライズから買う電気は従量電灯Bの第2段階(120〜300kWh)が税込25.67円/kWhで、5年目以降は売る電気より「買わずに済ませた電気」のほうが3倍前後の価値を持つ関係になります。
5kWシステムでの年間試算(目安)
FIT認定を受けた場合の目安として、年間発電量を5kW×1,150kWh/kW=5,750kWhと置きます(岐阜県の日照条件を踏まえた概算値で、購入する電気の単価は税込26円/kWhを想定しています。設置条件や電気の使い方で変わります)。
- 1〜4年目(高単価売電期):発電量の7割を売電(4,025kWh)とすると、4,025×24円=約9.7万円/年の売電収入。自家消費分(1,725kWh)で購入電気を約4.5万円/年削減。合計メリット約14.2万円/年になります。
- 5〜10年目(低単価売電期):買取単価が8.3円/kWhに下がるので、自家消費に寄せるほど手取りが増えます。自家消費比率を5割まで上げると、売電(2,875kWh×8.3円=約2.4万円)+購入電気削減(2,875kWh×26円=約7.5万円)=合計メリット約9.9万円/年です。
- 11年目以降(卒FIT):買取は市場価格に連動する水準(8〜10円/kWh前後)に移り、自家消費が主役になります。蓄電池があれば、昼につくった電気を夜の消費にも回せます。
ただし大垣市・山県市・飛騨市の補助を使う場合、この試算のうち売電収入は前提から外れます。3市とも5kWなら補助は最大35万円で、上の試算の1〜4年目の売電収入(年約9.7万円)の3年半分にあたる金額です。売電単価だけで判断せず、補助額と10年間の収支をセットで比べてから方針を決めましょう。
岐阜県で自家消費が特に効く家庭
電気料金が高止まりする局面では、次のような家庭ほど自家消費のメリットが出やすくなります。
- 日中に人がいる世帯:在宅ワークやシニア世帯は、発電している時間帯にそのまま電気を使えます
- 自家消費30%が補助の要件になる市に住んでいる:大垣市・山県市・飛騨市では、自家消費に寄せる設計が補助を受ける前提です
- 蓄電池を同時に入れる家庭:多治見市・恵那市のようにセットが条件の市では蓄電池ありが標準の組み立てになり、夜に回せる分だけ自家消費比率が上がります
- 電気を使う時間帯を昼にずらせる家庭:給湯の沸き上げや洗濯乾燥を日中に寄せると、買う電気をそのまま減らせます
一方、日中に家を空ける共働き世帯は、初期4年の高単価売電で回収してから5年目以降に蓄電池を足す設計も考えられます。ただしその場合、大垣市・山県市・飛騨市の補助は使えません。岐阜県では「補助を厚く受けて自家消費に寄せる」か「補助を見送って売電で取る」かの二択になる市があるため、見積もりの段階で両方の10年収支を出してもらうのが確実です。
岐阜県の導入費用と補助後シミュレーション

導入費用の目安は、2025年に設置された住宅用(10kW未満)の全国平均で1kWあたり29.0万円です(既築30.1万円/kW、新築28.9万円/kW)。
実際の価格は施工店や機種で動くため、複数社の相見積で確かめる前提の数字です。ここに市の補助を充てると、岐阜県内では実質負担が次のように変わります。
| ケース | 実質負担 |
|---|---|
| 既存住宅・大垣市・太陽光5kW単体 | 導入費用:30.1万円×5kW=約151万円 大垣市補助:7万円×5kW=35万円(上限35万円) 実質約116万円(151万円-35万円) |
| 既存住宅・山県市・太陽光4kW単体 (自家消費30%以上) | 導入費用:30.1万円×4kW=約120万円 山県市補助:7万円×4kW=28万円 実質約92万円(120万円-28万円) |
| 既存住宅・飛騨市 (豪雪地域想定)・太陽光5kW+蓄電池8kWh | 導入費用:太陽光約151万円(30.1万円/kW×5kW)+蓄電池約100万円=約251万円 飛騨市補助(太陽光):7万円×5kW=35万円(上限35万円) 飛騨市補助(蓄電池、太陽光と同時設置):100万円×1/3=33.3万円→上限25.8万円のため25.8万円 実質約190万円(251万円-35万円-25.8万円) |
| 既存住宅・多治見市・太陽光4kW+蓄電池8kWh (太陽光単体不可のためセット申請) | 導入費用:太陽光120万円+蓄電池100万円=合計220万円 多治見市補助(太陽光):1.5万円×4kW=6万円(上限6万円) 多治見市補助(蓄電池):1万円×8kWh=8万円 実質約206万円(220万円-6万円-8万円) |
| 既存住宅・恵那市・太陽光5kW+蓄電池8kWh (令和8年度からセット必須) | 導入費用:太陽光約151万円(30.1万円/kW×5kW)+蓄電池約100万円=約251万円 恵那市補助(太陽光):1万円×5kW=5万円(上限5万円) 恵那市補助(蓄電池):3万円×8kWh=24万円→上限15万円のため15万円 実質約231万円(251万円-5万円-15万円) |
同じ5kWでも、ケース1(大垣市)とケース5(恵那市)では、太陽光分の補助だけで30万円の差がつきます。太陽光単体で申請できるかどうかも含めて、お住まいの市の制度は必ず確認しましょう。実際の金額は機種・屋根の条件・申請した時点の予算残額で動くため、市の補助を差し引いた実質負担まで施工業者に計算してもらってから比べるのが確実です。
太陽光発電補助金の申請から受給までの流れ
- 業者・機種選び:国のみらいエコ住宅、市区町村の補助のいずれにも対応できる業者を選びます。
- 補助金の交付申請:大垣市・山県市・飛騨市・多治見市・恵那市はいずれも事前申込が必須です。契約前に業者と申請スケジュールを確認しましょう。多治見市は工事着手2週間前までの予約申込が必要です。
- 設置工事:交付決定を受けてから着工します。決定前に契約や工事を始めると対象外になるため、パネルとパワーコンディショナの設置、系統連系の工程はすべて交付決定のあとに組みます。
- 完了報告・受給:工事が終わったら完了報告書と写真・領収書などの証拠書類を提出し、市の審査を経て補助金が振り込まれます。
FIT売電を選ぶ場合は、これと並行して経済産業省へのFIT設備認定と、電力会社との売電契約の手続きが要ります。ただし大垣市・山県市・飛騨市の補助はFIT・FIPの認定を受けないことが条件のため、この3市で補助を使うなら、そもそもFIT認定の手続きを行いません。
申請で失敗しないための注意点
- 申請の順番を間違えない:岐阜県内の市の多くは着工前・契約前の事前申込が必須です。事後申請の市もあるため、契約前に業者とスケジュールを確認しましょう。
- 太陽光単体で申請できるか確認する:多治見市・恵那市は蓄電池等との同時設置が条件です。太陽光だけを検討している場合、対象外になるケースがあるため事前に要綱を確認しましょう。
- 予算枯渇による早期終了:可児市・関市・土岐市はすでに令和8年度分の受付を終了しており、羽島市・各務原市は制度自体が終了しています。岐阜県内は予算に達した時点で年度途中でも締め切られる市が多いため、検討を始めたら早めに動くのが安全です。
- 自家消費率の要件を確認する:大垣市・山県市・飛騨市は発電量の30%以上を自家消費することが条件です。FIT・FIP(売電)を前提にした設計だと対象外になる場合があります。
- 必要書類・写真の不備に注意:設置前の屋根、施工中の様子、機器の型番が分かる写真など、求められる書類は市ごとに細かく決まっています。着工後では撮り直せない写真もあるため、提出物のリストは工事前に業者と突き合わせておきましょう。
太陽光発電導入のメリット・デメリット

メリット
- 電気代の削減:中部電力ミライズから買う電気は従量電灯Bの第2段階で税込25.67円/kWhです。日中に使う電気を発電分に置き換えるほど、この単価がそのまま家計に残ります。
- 売電収入:FIT認定を受ければ10年間、余った電気を固定単価で買い取ってもらえます(大垣市・山県市・飛騨市の補助を使う場合は認定を受けられません)。
- 災害時の非常用電源:停電してもパワーコンディショナを自立運転に切り替えれば、日中の発電分を家庭内で使えます。蓄電池を併設すれば夜間もカバーできます。
- 日照時間の長さ:岐阜の年間日照時間の平年値は2,108.6時間で、南部の平野部は発電量を確保しやすい環境です。
デメリット・注意点
- 初期費用:5kWで約145万円(新築)〜約151万円(既築)が目安です。補助が35万円出る市でも、100万円台の自己負担が残ります。
- 住む市で条件が大きく変わる:補助の単価は大垣市・山県市・飛騨市の7万円/kWから恵那市の1万円/kWまで開きがあり、そもそも太陽光単体では申請できない市もあります。
- 飛騨地方は冬の発電量が落ちる:高山の1月の日照時間の平年値は92.9時間で、年間でも1,638.3時間と、岐阜地方気象台の2,108.6時間の8割弱にとどまります。積雪対策をしなければ、冬の落ち込みはさらに大きくなります。
- 夏の高温による効率低下:東濃地方の内陸部のように気温が上がりやすい地域では、真夏にパネルの変換効率がわずかに下がることがあります。
- メンテナンス:パワーコンディショナには製品寿命があり、太陽光を使い続けるあいだに一度は交換が必要になります。パネルも経年で発電効率が少しずつ下がるため、交換費用を含めた収支で考えましょう。
- 売電単価の低下:FIT単価は年々下がっており、卒FIT後は自家消費への切り替えが前提になります。
よくある質問(FAQ)

太陽光だけを対象にした国の補助金はもう無いのでしょうか?
住宅用太陽光発電への単体の国補助は2014年で終了しています。いまの国の支援は、太陽光を要件のひとつに含むみらいエコ住宅2026事業(GX志向型住宅など)のように、住宅全体の省エネ性能に対して出る形です。上限額と要件は本文の国の制度のセクションにまとめています。
岐阜県の太陽光補助はもう終わっているの?
岐阜県として個人住宅向けの太陽光への直接補助(現金給付)はもともとありません。県が実施しているのは価格を下げる共同購入キャンペーン「みんなのおうちに太陽光」です。市町村では大垣市・山県市・飛騨市などで補助の受付が続いていますが、可児市・関市・土岐市は予算上限に達して令和8年度分の受付を終了、岐阜市は令和8年度に太陽光を対象外にしています。お住まいの市の状況は公式ページで最新をご確認ください。
岐阜市に住んでいるが、太陽光の補助はある?
岐阜市では令和8年度、太陽光発電設備への補助は実施されていません。対象になるのは家庭用蓄電池のみで、既設の太陽光発電設備に附帯する設置であることが条件です。今後の年度で太陽光の補助が再開されるかは、岐阜市公式ページで確認しましょう。
太陽光単体では補助を受けられない市があるのはなぜ?
多治見市・恵那市などは、太陽光発電と蓄電池・V2H・エネファームなどの自家消費設備を同時に導入することで、自家消費比率を高めてもらう狙いから、太陽光単体を補助対象外にしています。太陽光だけを検討している場合は、大垣市・山県市・飛騨市のように単体で申請できる市の制度も比較してみましょう。
申請は工事の前?後?
岐阜県内で確認できた大垣市・山県市・飛騨市・多治見市・恵那市は、いずれも契約・着工前の事前申込が必須です。順番を間違えると補助を受けられなくなるため、契約前に業者と申請スケジュールを詰めておきましょう。
飛騨地方など雪が多い地域でも太陽光発電は設置できる?
設置は可能ですが、積雪に耐える設置角度や耐雪仕様の太陽光パネル、落雪防止の雪止め金具など、豪雪地域向けの対策が必要です。冬季は屋根の雪が発電の妨げになることもあるため、施工業者に地域の設置実績を確認しましょう。
賃貸住宅に住んでいても補助は使える?
入居者ご自身は申請できません。オーナーが既存住宅のリフォームとして太陽光を発注する場合に、工事の発注者として対象になります。集合住宅は屋根の面積や建物の構造による制約もあるため、設置できるかどうかから業者に相談しましょう。
中古住宅でも対象?
対象です。既存住宅への後付け(リフォーム)で設置する場合も、工事の発注者として市の補助を申請できます。大垣市・多治見市は新築と既存のどちらも対象にしていますが、扱いは市によって異なる場合があるため、要綱の対象要件をご確認ください。
補助金はいつもらえる?
工事が終わって完了報告を出し、市の審査が通ってから振り込まれます。交付までの期間は制度・業者により異なりますが、数か月かかるのが一般的です。契約時に業者へ目安を確認しましょう。
まとめ|岐阜県は市区町村の補助を確認して導入するのがお得
岐阜県で太陽光発電を導入する場合、県独自の直接補助はなく、共同購入キャンペーン「みんなのおうちに太陽光」が価格を下げる仕組みとして用意されています。実質負担を左右するのは市区町村の補助で、大垣市・山県市・飛騨市は太陽光単体で7万円/kW程度(上限35万円)、多治見市・恵那市は蓄電池等との同時設置が条件で1万〜1.5万円/kW程度と、市によって条件と金額が大きく異なります。岐阜市は令和8年度に太陽光への補助を取りやめ、各務原市・羽島市は制度自体を終了しているため、お住まいの市の最新情報を必ず確認しましょう。
岐阜県は年間日照時間が全国でも多く、南部の濃尾平野は太陽光発電と相性の良い地域です。一方で北部の飛騨地方は豪雪地帯にあたり積雪対策が欠かせず、多治見市など東濃地方の内陸部は夏の高温でパネル効率がわずかに下がる場面もあります。FIT買取単価は2026年度から初期4年24円/kWh・5〜10年目8.3円/kWhの二段階になりますが、大垣市・山県市・飛騨市の補助はFIT・FIPの認定を受けないことが条件です。岐阜県では「補助を取って自家消費に寄せる」か「補助を見送って初期4年の高単価売電で回収する」かを、設計に入る前に決めることになります。
補助金はどれも予算上限・先着順で、岐阜県内は年度途中で受付終了する市が多く出ています。令和8年度も可児市・関市・土岐市が夏までに締め切っているため、検討を始めたら早めに複数社へ見積もりを依頼し、申請のスケジュールまで含めて相談しておきましょう。太陽光単体で申請できるか、蓄電池等とのセットが必要かも市によって変わるため、その点も含めてお住まいの市の要綱を確認しましょう。
監修:えねこ編集部
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